論文名 | MCI・認知症に対するサイコソーシャルなアプローチの展開;本特集にあたって |
著者名 | 齋藤正彦 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,33(4):339-342,2022 |
抄録 | 今回の特集に際し,「老年精神医学雑誌」が過去に取り上げた同様の特集の内容を整理して,現在に至るまでの課題を整理した.非薬物療法に対して,薬物療法と同じ研究デザインによるエビデンスを求めるのではなく,非薬物療法の特性と対象の特性を考慮した研究のデザインが必要であることを述べた.この特集で,従来のように個々の治療法を切り口とするのではなく,複合的な方法が混在する場のあり方について論じる意味についてもふれた. |
キーワード | 非薬物療法,回想法,介入研究,効果,エビデンス |
論文名 | MCI・認知症に対するサイコソーシャルなアプローチに不可欠な要素とは |
著者名 | 山口晴保 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,33(4):343-351,2022 |
抄録 | "・認知症の人のwell-beingを目指したサイコソーシャルなアプローチに不可欠な要素を解説した. ・病識が低下していて介護拒否や被害妄想を伴ったクライエントへの病識を高めるサイコソーシャルなアプローチを具体的に解説した. ・もの忘れ外来の場面でのサイコソーシャルなアプローチを例示して,共感を示す態度,安心の場の提供,クライエントとの良好な関係性,クライエントへの賞賛や感謝,モチベーション・自己効力感を高める方法など,重要な点を示した. ・軽度認知障害(MCI)/うつへのアプローチにもふれた." |
キーワード | 病識,障害受容,脳活性化リハビリテーション,認知行動療法,PERMA理論 |
論文名 | 「健脳カフェ」における認知症予防を目指した心理社会的アプローチの展開 |
著者名 | 新井平伊 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,33(4):352-356,2022 |
抄録 | 「健脳カフェ」は,既存の「認知症カフェ」とは異なり,発症前の軽度認知障害(MCI)や主観的認知機能低下(SCD)の段階を対象として,2021年4月に東京都新宿区に開設された.ここでは,その組織や運営を概説したうえで,心理社会的には「二次予防実践」「社会活動継続」「意欲と感情の活性化」「認知症対策」などの意義を論じた. |
キーワード | Alzheimer’s disease,mild cognitive impairment,subjective cognitive decline,prevention,caf? |
論文名 | MCI・軽度認知症者への精神科デイケアの試み;コロナ禍のサイコソーシャルなアプローチ |
著者名 | 朝田 隆 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,33(4):357-363,2022 |
抄録 | 精神科における認知症対応デイケアは,精神科医療独自の診療報酬に裏打ちされていることが特徴である.精神科デイケアでは従来,統合失調症,近年ではうつ病が対象疾患の中心であったが,最近では重度のみならずさまざまな程度の認知症も対象になりつつある.当院では,2014(平成26)年から前駆期・初期の認知症を主たる対象にデイケアを続けてきた.本稿では,その理念,具体的なメニュー,そして運営するスタッフという観点などから,振り返る.また,少なからず反省点がある.2020年初頭からは,コロナ禍(COVID-19のパンデミック)がデイケアにも影響を与えている.これへの打開策として双方向性に立ったWebの利用が重視される.厚生労働省が進めるデータへルス改革や認知症疾患医療センターの診断後支援といった新たな方向性との融合も大切である. |
キーワード | 軽度認知障害,精神科デイケア,コロナ禍,Web |
論文名 | 認知症カフェの経験;認知症の人と家族のためのサイコソーシャルな支援 |
著者名 | 繁田雅弘 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,33(4):364-369,2022 |
抄録 | 筆者らが取り組んでいる認知症カフェとミーティング・センターの経験を通して,認知症や軽度認知障害の人と家族のためのサイコソーシャルなアプローチについて考えた.これらの取組みが認知症当事者の訴える「空白の期間」を埋めるための有効な手段となりうる可能性についてふれたあと,われわれの行っている認知症カフェ『平塚カフェ』と,新たな試みとして始めたミーティング・センターについて紹介した.続いて認知症カフェにおける当事者とスタッフの関係や多職種の参加する意義が,医療や介護の現場と異なることについて考察を加えた.最後にコロナ禍において新たなカフェとして派生したオンライン・カフェの可能性について述べた. |
キーワード | 認知症カフェ, ミーティング・センター, 空白の期間, 多職種協働, オンライン認知症カフェ |
論文名 | 家族介護者に対するサイコソーシャルなアプローチの展開;認知症カフェにおける家族介護者支援 |
著者名 | 松田千広 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,33(4):370-376,2022 |
抄録 | 本稿では,医療機関が地域で行う認知症カフェを紹介し,家族介護者の支援に焦点をあてた認知症カフェの意義と,期待される効果について論じた.認知症カフェにおける心理社会的支援は,家族の介護負担に対して環境的な媒介要因としてポジティブに機能し,元の状態への回復や心理的成長につながると考えられる.介護者同士の対話や専門職からの情報が得られる認知症カフェは,地域の家族介護者にとって重要な支援の場といえるだろう. |
キーワード | 認知症カフェ,家族介護者,心理社会的支援,地域支援,ピアサポート |
論文名 | 認知症をもつ人と介護者の心理社会的活動を支援するための日常的なデジタル技術の開発;営利企業からみた課題と可能性 |
著者名 | 西村嘉子,ニック・ハード |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,33(4):377-387,2022 |
抄録 | コミュニケーションとエンゲージメントは,パーソン・センタード・ケアを実施し,認知症をもつ人とその介護者の精神的ウェルビーイングと人間関係を維持するための基本的なものである.日常的に使用できるデジタル技術の普及は,心理社会的活動の利用を拡大し,彼らの多くが経験する疾患と症状に伴うコミュニケーションの問題の克服に,これまでにない機会を提供する.本稿は,日本のスタートアップ企業である株式会社Aikomiが開発した技術に焦点をあてて,持続可能で豊かな認知症ケアに貢献するデジタル技術の現状と課題,将来の可能性について営利企業の視点から解説した. |
キーワード | パーソン・センタード・ケア,コミュニケーション,エンゲージメント,デジタル技術,デジタルセラピー,官民パートナーシップ(PPP) |