論文名 | 非定型例のアルツハイマー型認知症の鑑別診断のポイント |
著者名 | 大槻美佳 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,31(9):909-925,2020 |
抄録 | 非定型アルツハイマー型認知症のなかで,@後部大脳皮質萎縮症(PCA),A語減少型原発性進行性失語(lpvPPA),B前頭葉型アルツハイマー病(fvAD)について,疾患概念の背景,症候と診断のポイント,検査所見,背景病理などを整理して,実例を示した.いずれも,近年,臨床症候,各種検査所見,病理学的所見の詳細が検討され,その障害メカニズム,他疾患との鑑別方法などが明らかにされてきている.適切な診断は,患者への対応および,今後の治療に向けての群化を行ううえでも重要である. |
キーワード | 非定型アルツハイマー型認知症(AD),後部大脳皮質萎縮症(PCA),語減少型原発性進行性失語(lpvPPA),前頭葉型アルツハイマー病(fvAD) |
論文名 | 非典型例のレビー小体型認知症の鑑別診断のポイント |
著者名 | 橋本 衛 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,31(9):926-934,2020 |
抄録 | レビー小体型認知症(DLB)の臨床症候は多様であり,典型像を呈さない症例が少なくない.そのため,DLBを臨床症状だけで診断することには限界があり,MIBG心筋シンチグラフィーやドパミントランスポーターシンチグラフィーなどのバイオマーカーが診断に重要な役割を果たしている.一見DLB以外の認知症や精神疾患のようにみえる症例であっても,多くの症例では,幻視やパーキンソニズム,レム期睡眠行動異常症などの中核的特徴を伴っている.丁寧な問診や診察によって他の症状の陰に隠れているこれらの症候を同定し,DLBの可能性を疑うこと,そしてバイオマーカー検査につなげることが,非典型例のDLBの鑑別診断のポイントである. |
キーワード | レビー小体型認知症,非典型症例,DLBくささ,診断基準,バイオマーカー |
論文名 | 非典型的な症候や画像所見をもつ行動障害型前頭側頭型認知症の鑑別診断のポイント |
著者名 | 小林良太,川勝 忍,林 博史,森岡大智,大谷浩一 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,31(9):935-947,2020 |
抄録 | 行動障害型前頭側頭型認知症(bvFTD)は比較的まれな疾患であるため,典型的なbvFTDでさえ,診療経験をもつ医師は限られている.そのうえ,bvFTDは臨床症候群であり,その多彩な背景病理に応じた臨床症状や画像所見にもバリエーションがある.また,精神疾患との鑑別が問題となることも多く,臨床家を悩ませる原因となっている.本稿では,非典型的な症候や画像所見をもつbvFTDの鑑別のポイントについて,神経変性疾患と精神疾患の2つの側面から解説した. |
キーワード | 前頭側頭型認知症,画像診断,精神疾患,phenocopy |
論文名 | 行為・動作症候からみた認知症の鑑別診断 |
著者名 | 中川賀嗣 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,31(9):948-960,2020 |
抄録 | 変性性の認知症疾患でみられる行為・動作症候は,障害の特性によって3つに大別できる.第1は,特定の動作が実現できなくなるタイプの症候である.第2に動作が拙劣化するタイプの症候である.そして,第3に患手が意思から離れて勝手に動いてしまうタイプの,いわゆる“他人の手”徴候に含まれるいくつかの症候である.本稿では,これらの症候の診方をまず述べ,次に,これらの症候から変性性認知症疾患の臨床診断への流れについて例を示しながら概説する. |
キーワード | 観念失行,観念運動失行,構成障害,着衣障害,肢節運動失行 |
論文名 | 失語からみた認知症の鑑別診断 |
著者名 | 船山道隆 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,31(9):961-965,2020 |
抄録 | 緩徐に進行する失語が主症状である認知症は,初期に認知症に典型的なエピソード記憶障害や行動異常が認められないため,しばしば見逃される.しかし,若年性の変性疾患による認知症では失語症が主症状である場合が比較的多く,就労を中心とした社会的機能に大きく影響する.さまざまなタイプの進行性失語が存在するが,最も重要なことは患者とじっくりと話すことであり,それが診断へ結びつく. |
キーワード | 進行性失語,非流暢/失文法型進行性失語,意味型進行性失語,logopenic型進行性失語 |
論文名 | 失認からみた認知症の鑑別診断 |
著者名 | 内山 信,今村 徹 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,31(9):966-972,2020 |
抄録 | 失認とは,ある特定の感覚様式を介して対象を認識することができない症候である.本稿では,大脳後方領域の損傷によって生じる視覚性失認,相貌失認,地誌的失見当,同時失認の特徴および評価方法について解説し,症例を呈示した.Posterior cortical atrophy(PCA)ではこれらの症候が認められることが多く,鑑別診断を行う際に重要となる. |
キーワード | 視覚性失認,相貌失認,地誌的失見当,同時失認,posterior cortical atrophy |
論文名 | 遂行機能障害からみた認知症の鑑別診断 |
著者名 | 穴水幸子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,31(9):973-982,2020 |
抄録 | さまざまな認知症において,日常生活を円滑に行えない遂行機能障害が生じる場合がある.適切な評価のためには,臨床経過と神経心理検査,また脳画像検査が必要である.本稿では,遂行機能障害を評価するいくつかの神経心理検査を紹介した.また,進行性非流暢性失語および遂行機能障害を伴う症例を呈示した. |
キーワード | 認知症,遂行機能障害,神経心理検査,ワーキングメモリ,進行性非流暢性失語 |