老年精神医学雑誌 Vol.31-1
論文名 医療AIの展開と倫理的・法的・社会的課題(ELSI)
著者名 井上悠輔
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,31(1):7-15,2020
抄録 本稿は,医療AI(人工知能)の倫理的・法的・社会的課題(ELSI),とりわけ医療倫理の面からのアプローチを試みた.この領域には大きな可能性があり,その進展には期待も大きい.急伸する分野に付随する課題を,先行して適切に論じることは常にむずかしいが,AIの特性・特徴に鑑みて,その試行・研究開発段階,および実臨床での展開における留意点を示した.前半では主に「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)・医師法との関係から,後半では現在展開される主な論点のうち,学習データの確保,医師の役割,患者医師関係における課題にとくに注目した.
キーワード 医療倫理,ELSI,薬機法,医師,患者医師関係
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論文名 AIとPETを用いた認知症画像診断
著者名 坂田宗之
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,31(1):16-22,2020
抄録 認知症の診断を行ううえでMRIやPETなどの画像診断は必要不可欠であるが,近年の機械学習技術の発展によって,画像の自動分類などAI(人工知能)による診断支援に注目が集まっている.本稿では,主に脳FDG-PETを用いた認知症画像診断について,AI以前から行われている統計比較などによる解析や,機械学習を用いた取組みと課題について紹介した.
キーワード AI,機械学習,PET,認知症,画像診断,アルツハイマー病
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論文名 AIと認知症ケア
著者名 竹林洋一
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,31(1):23-30,2020
抄録 本稿では,人間中心のIoT(Internet of Things)とAI(人工知能)を利活用したEvidence-Based Care(EBC)を基軸とする自立共生支援AIについて述べた.AIの歴史を概観し,Minskyの「多層思考」や「スーツケースワード」などの認知科学的概念と数々のAI理論が複雑な認知症ケアの客観化に貢献できることを示した.当事者の視点を重視する市民情報学(citizen informatics)に基づく「みんなの認知症情報学」は,多面的なエビデンスと知を創出し,マルチモーダル自立共生支援コーパスは社会保障費の削減に有効である.
キーワード 人工知能,マルチモーダル,認知症情報学,ケア,エビデンス,コーパス
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論文名 高齢者を対象とした遠隔精神科医療
著者名 山本真理,堀込俊郎,吉田和生,岸本泰士郎
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,31(1):31-36,2020
抄録 高齢化が進行するわが国では,遠隔医療の高齢者への応用が期待される.海外では,遠隔精神科医療の検査精度や満足度,治療効果が対面診療と比較して劣らないことがすでに数多く報告されている.当研究室でも,高齢者を対象とした認知機能検査について遠隔と対面の比較試験を複数行い,検査結果の高い一致度を得たほか,強迫性障害に対する遠隔治療なども試みている.今後ガイドラインの整備などが進み,遠隔精神科医療が普及することが望まれる.
キーワード 遠隔精神科医療,認知機能検査,治療効果,満足度
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論文名 高齢者の在宅医療と遠隔診療
著者名 長谷川高志
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,31(1):37-43,2020
抄録 2018年度のオンライン診療料の保険収載と「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の策定により,遠隔診療の制度は大きく進展した.在宅医療においても,遠隔診療が展開することが期待される.一方で遠隔診療には適用対象や診療形態への制約が大きく,また法制度の未整備に伴う制限も存在する.遠隔診療を推進するには,臨床スキルだけでなく,実務と管理の双方のスキルが欠かせない.そこには現場にとどまらない広範な視点が不可欠であり,制度の要点,遠隔診療の特性(医療者や患者の連携形態,ニーズの高い適用対象,基盤となる機器や技術等)が重要である.本稿では,遠隔診療の発展過程を歴史的に振り返り,在宅医療や精神科診療への適用手法,地域ケアでの運営手法など,制度の推進に求められる視点を概観した.
キーワード 遠隔医療,オンライン診療,診療報酬,指針,在宅医療
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論文名 高齢者のための遠隔看護(テレナーシング)
著者名 亀井智子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,31(1):44-50,2020
抄録 テレナーシングはテレヘルス(遠隔医療)に位置づけられる看護の新たな提供方法である.テレナーシングは,情報通信技術(ICT)を用い,離れた場所で生活する人に対して,遠隔コミュニケーションをベースとして提供される.慢性疾患をもつ者の場合,心身状態の遠隔モニタリングを併用することにより,テレナーシングによって慢性疾患管理を行うことができる.本稿では,テレナーシングの背景,実践例,そしてエビデンスを紹介し,とくに慢性疾患をもち在宅療養する高齢者への看護の方法として解説した.
キーワード テレナーシング,テレヘルス,デジタルヘルス,慢性疾患管理,在宅高齢者
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論文名 自動車の安全技術・自動運転への取組み
著者名 鎌田 実
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,31(1):51-57,2020
抄録 自動車の自動運転への期待が高まっている.交通事故の防止や事業用自動車のドライバー不足への対応などを目的としているが,完全自動運転の実現には解決すべき課題が多々あり,現状では高度運転支援といったレベルにとどまっている.一方,予防安全技術と称される自動ブレーキに代表される運転支援システムは急速に普及が進んでいる.本稿では,このような自動車の安全に向けた諸々の取組みを紹介し,今後の自動車交通の姿を示した.
キーワード 自動車,予防安全,運転支援,自動運転
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