論文名 | 認知症介護,社会的インフラの整備の現状とこれから |
著者名 | 山口晴保 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,30(12):1299-1307,2019 |
抄録 | "・パーソン・センタード・ケアと,ツールとしての「センター方式」と「ひもときシート」. ・認知症介護研究・研修東京センターで養成している認知症介護指導者と認知症地域支援推進員の活動状況. ・認知症の行動・心理症状(BPSD)の正しい理解とBPSD予防. ・認知症ちえのわnetの紹介. ・IoT(Internet of Things)センサーで得た情報をクラウドに集めて人工知能(AI)で分析するAIアシストケア." |
キーワード | 認知症介護研究・研修センター,認知症施策推進大綱,BPSD,認知症介護指導者,認知症地域支援推進員 |
論文名 | <東京都における認知症疾患医療センターの活動と課題> 公立精神科病院の活動 |
著者名 | 新里和弘,堀井歩美,樋口晴哉,梅田健太郎,井藤佳恵,大島健一,齋藤正彦 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,30(12):1308-1314,2019 |
抄録 | 本稿では,都市部の入院機能をもつ認知症疾患医療センターの外来,入院,連携の現状と,今後のあり方に関して考察した.都市部では今後,高齢者の大幅な増加が予測されているが,医療機関が多いという特徴がある.都市部にある認知症疾患医療センターは,他医療機関の補完的役割を担うことが必要であり,常に難治症例を視野にいれたあり方が望まれる.病床をもつ利点を活かした積極的介入と,かかりやすい病院づくりが重要であることを述べた. |
キーワード | 大都市,団塊の世代,医療連携,若年性認知症 |
論文名 | <東京都における認知症疾患医療センターの活動と課題> 北多摩南部の活動;多彩な専門性と協調性 |
著者名 | 神ア恒一 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,30(12):1315-1325,2019 |
抄録 | 北多摩南部医療圏(6市)は地域拠点型センターである杏林大学病院と,5市の各地域連携型センターで構成されている.2つは大学病院,2つは精神科病院,他の2つは急性期総合病院とケアミックス病院である.各病院の特性が異なることを利用して,年2回開催する情報交換会を通じて互いの施設の長所を活かし,短所をカバーする仕組みがうまく機能している.今後は「共生と予防」をテーマに“認知症にやさしい圏域”づくりを推進していくことを目指している. |
キーワード | 参加型研修,地域包括ケアシステム,認知症にやさしいまち,ケアパス,三鷹・武蔵野認知症連携を考える会 |
論文名 | <東京都における認知症疾患医療センターの活動と課題> 民間精神科病院としての認知症疾患医療センターの役割 |
著者名 | 平川淳一,荻生淳希,椎名貴恵 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,30(12):1326-1334,2019 |
抄録 | 東京都には,認知症疾患医療センターが52か所あり,地域拠点型センター12のうち4施設が,地域連携型センター40のうち7施設が民間精神科病院である.認知症疾患医療センターとしてとくに重要とされる役割は,身体合併症や行動・心理症状(BPSD)への対応と地域連携の推進であり,民間精神科病院で対応すべき事項と思われ,循環型のケアのなかで需要は多いと思われる.しかし,実際にはかなり重度にならないと利用しない傾向があり,利用推進のための普及・啓発が必要である. |
キーワード | 認知症疾患医療センター,民間精神科病院,BPSD,身体合併症 |
論文名 | <地方における認知症疾患医療センターの活動と課題> 北海道認知症疾患医療センターとしての砂川市立病院の取組み |
著者名 | 内海久美子,柳渡彩香 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,30(12):1335-1343,2019 |
抄録 | 砂川市立病院は北海道の中空知地域に位置する総合病院で,2004年より「もの忘れ専門外来」を開設すると同時に,「中空知・地域で認知症を支える会」を結成して地域活動を行ってきた.2010年には北海道認知症疾患医療センター(地域拠点型)に認定された.認知症疾患医療センターとしての医療活動だけではなく,地域の介護福祉関係者との情報共有を通して連携を図り,さらには行政,市民とともに互助活動を作り上げて,地域包括ケアシステム構築を目指した活動を行っている.本稿では,その実践を概観し,課題を抽出した. |
キーワード | 医療介護連携,情報共有,互助活動,診断後支援,満足度 |
論文名 | <認知症高齢者を地域で支える:実践事例> もの忘れクリニックが行う若年認知症への取組み;現場のニーズから制度の隙間を埋める,それを施策に変える |
著者名 | 藤本直規,奥村典子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,30(12):1344-1357,2019 |
抄録 | 若年認知症の人を発症初期から継続的に支えるために,医療法人藤本クリニックでは,診断,病名告知,薬物治療,就労継続支援としての企業への指導,休職・退職直後の居場所である「仕事の場」,病気の受け入れのための「心理教育」,認知リハビリテーション的なケアの場であるデイサービス「もの忘れカフェR」など,認知機能障害の進行に合わせた非薬物療法としてのケアとオーダーメイドの家族支援を行ってきた.また,地域連携の取組みとして,「面接・電話相談」,介護事業所に出かける「現地相談」,「医療・福祉の連携の会」を行っている.また,それらの活動を,滋賀県内に広げるために,2012〜2014年度まで,滋賀県から委託を受けて「若年認知症地域ケアモデル事業」を行ってきた.本稿では,当クリニックで行っている若年・軽度認知症の人への支援活動のまとめと,それを県内に広げるための取組みとして行われた「滋賀県若年認知症地域ケアモデル事業」の3年間の取組みとその後継事業から,若年認知症の人と家族のニーズから行ってきたインフォーマルな支援が,施策化されていくプロセスを紹介した. |
キーワード | 若年認知症,病名告知,仕事の場,もの忘れカフェ,多職種地域連携 |
論文名 | <認知症高齢者を地域で支える:実践事例> 京都での取組み;新・京都式オレンジプランの推進と10のアイメッセージ |
著者名 | 西村幸秀 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,30(12):1358-1367,2019 |
抄録 | 京都府では,「京都地域包括ケア推進機構」が2011年に設立され,「京都式地域包括ケア」の実現に向けて,2013年には「京都式オレンジプラン」を策定した.京都独自のプランとして,認知症の人とその家族が望む社会の姿を「10のアイメッセージ」として掲げ,国が発表した新オレンジプランに先行するかたちで,認知症の人とその家族の視点を重視することを明文化した.2018年には,「新・京都式オレンジプラン」と改定し,「認知症とともに歩む本人の意思が尊重され,住み慣れた地域で暮らし続けられる社会」を目指している.本稿では,京都での取組みを,京都で2018年に設立された「一般社団法人日本意思決定支援推進機構」の取組みも含めて,報告した. |
キーワード | 新・京都式オレンジプラン,10のアイメッセージ,京都式地域包括ケア,京都地域包括ケア推進機構,日本意思決定支援推進機構 |
論文名 | <認知症高齢者を地域で支える:実践事例> 多職種連携に重点をおいた地域連携型認知症疾患医療センターとしての役割 |
著者名 | 清塚鉄人 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,30(12):1368-1372,2019 |
抄録 | 認知症高齢者を地域で支えるための医療の役割は,適切な支援体制の構築である.認知症疾患医療センターでは専門外来のみならず,認知症カフェ,認知症初期集中支援チーム,認知症看護外来,認知症ケアチームなど多職種部門の強化,さらには地域の関係機関との密接な連携が重要である.連携の強化は本人・家族の視点を重視し,希望をもって日常生活を過ごせる地域社会を築く一歩になる. |
キーワード | 認知症,多職種連携,認知症疾患医療センター,認知症初期集中支援チーム,認知症カフェ |
論文名 | <認知症高齢者を地域で支える:実践事例> 認知症の人への診断後の心理的支援とピアサポート |
著者名 | 大塚智丈 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,30(12):1373-1378,2019 |
抄録 | 認知症の人が抱える不安や混乱などの苦悩に対して心理的支援を行うことは,本来,老年精神医療の重要な役割である.その心理的支援のためには,本人との信頼関係を構築し,本人のニーズに応えるための心理状況の理解がまず必要である.また,本人の認知症観を変えることで自己像の改善を図り,不安などを軽減することも重要な支援のひとつとなる.それにも関連し,認知症領域でもピアサポートが有用な支援方法として期待されている. |
キーワード | 認知症,診断後支援,当事者ニーズ,心理的支援,ピアサポート |
論文名 | 今日の認知症施策に関するいくつかの検討課題 |
著者名 | 粟田主一 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,30(12):1379-1384,2019 |
抄録 | 「認知症施策推進大綱」におけるKPIのあり方と,認知症初期集中支援チームおよび認知症疾患医療センターの課題について私見を述べた.KPIは,基本計画の全体目標と下位目標に沿って構造化された,測定可能な具体的指標として設定すべきである.それには研究の蓄積が不可欠である.認知症初期集中支援チームは,地域の特性に応じて,既存事業との関連で整理・統合する必要がある.認知症疾患医療センターにおける診断直後の支援のあり方は,今後の重要な研究課題である. |
キーワード | 認知症施策推進大綱,共生,予防,認知症初期集中支援チーム,認知症疾患医療センター |