論文名 | 認知症関連学術団体からの提言 |
著者名 | 新井平伊 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,29(8):801-805,2018 |
抄録 | 2017(平成29)年3月12日から改正道路交通法が施行されたが,その前後において認知症に関連する主な学術団体からいくつもの提言や要望書が発表されている.日本精神神経学会,日本老年精神医学会,日本精神科病院協会,日本認知症学会(4学会合同)などであるが,それぞれの内容の特徴と概略を紹介した.いずれの学会からも,運転免許証の適否を判断するための方策と高齢者の生活の質の保証に関する疑問が投げかけられ,今後のさらなる改訂が必要と思われた. |
キーワード | 認知症,運転免許証更新,実車試験 |
論文名 | 高齢運転者の現状と今後の取組み;改正道路交通法の施行状況 |
著者名 | 岡本 努 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,29(8):806-817,2018 |
抄録 | 高齢運転者対策を主な内容とする改正道路交通法(改正法)が2017(平成29)年3月12日から施行された.この改正により,75歳以上の者は免許更新時の認知機能検査で「認知症のおそれ」があると判定された場合には,医師の診断が義務づけられた.本稿では,改正法の背景となる高齢運転者の交通事故発生状況や認知機能検査の結果を踏まえ,改正法の施行状況等とともに,今後の警察庁の取組み等について紹介した. |
キーワード | 高齢運転者,認知症,認知機能検査,改正道路交通法,自主返納 |
論文名 | 認知症の疑いを有する高齢運転者及び家族の視座;これまでの対応と今後への要望 |
著者名 | 水野洋子,荒井由美子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,29(8):818-824,2018 |
抄録 | 本稿は,認知症の疑いを有する高齢運転者及び家族による運転中止への対応と,外出・移動に関する要望について,当方が2013年に実施した調査の結果に基づき検討した.当該調査の結果,認知症の疑いを有する高齢者が,移動手段の有無以前の問題として,外出できる場や機会の減少等,外出すること自体に課題を有している実態等が明らかになった. |
キーワード | 認知症高齢者,家族(介護者),自動車運転,外出・移動支援,外出可能な場や機会 |
論文名 | 認知症の人の自動車運転をめぐる臨床や生活への影響;新改正道路交通法施行1年後の臨床現場への影響 |
著者名 | 上村直人 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,29(8):825-833,2018 |
抄録 | 2017(平成29)年3月12日に施行された改正道路交通法の運用状況が明らかにされた.全国で210万5477人が認知機能検査を受検し,5万7099人が「認知症のおそれ」がある第1分類と判定された.医師の診断を受けた者が1万6470人で,最終的に医師が認知症と診断し,免許が取消しまたは停止となった者が1,892人と,前年の約3倍に増えたことが明らかとなった.免許の自主返納の状況も含め,改正道路交通法施行後1年後の運用状況と今後の課題について概説した. |
キーワード | 認知症,自動車運転,運転免許,改正道路交通法,臨床的課題 |
論文名 | かかりつけ医の診療と医師会マニュアルのポイント;かかりつけ医の新たな地域医療における役割 |
著者名 | 渡辺 憲 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,29(8):834-839,2018 |
抄録 | 2017(平成29)年3月12日に施行された改正道路交通法によって,「認知症のおそれ」のある高齢者の運転免許更新に際して,医師の診断書が求められることとなった.この診断書作成に適切に対応することが,かかりつけ医に期待されている.認知症の診断にあたっては,日常生活の自立レベルを確認することが重要である.また,診断書作成の際,日本医師会の『かかりつけ医向け 認知症高齢者の運転免許更新に関する診断書作成の手引き』が有用と考える.また,運転免許証を失った高齢者への生活上の情報提供,健康指導は,かかりつけ医の新たな重要な役割と考える. |
キーワード | 高齢者運転免許,認知症診断マニュアル,地域生活支援,かかりつけ医,地域包括ケアシステム |
論文名 | 専門医の役割と今後の課題 |
著者名 | 池田 学 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,29(8):840-845,2018 |
抄録 | 認知症専門医は,2015(平成27)年改正道路交通法において,軽度認知障害と初期認知症の境界例,(診断書の作成によって)かかりつけ医との医師-患者関係が損なわれるおそれのある例,レビー小体型認知症,前頭側頭型認知症などの診断困難例の診断を求められることが予想される.改正道路交通法に係る診断書の作成を依頼され,診察の結果,認知症と診断した場合は自主返納を再度勧めることが重要である.日常診療で軽度認知障害(MCI)と診断した場合は,認知症への進展の可能性,その場合の自動車運転の中止の必要性,それを見越した自分の運転に頼らない生活環境の整備などを,本人や家族とじっくり話し合っていくことも今後の課題である. |
キーワード | 改正道路交通法,自主返納,専門医,認知症,軽度認知障害 |
論文名 | 高次脳機能障害と自動車運転について |
著者名 | 山田恭平,三村 將 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,29(8):846-852,2018 |
抄録 | 高次脳機能障害と自動車運転の関連性を整理することはむずかしいが,複数の神経心理学的検査を組み合わせることで,運転再開や中止,運転行動の特徴について一定の精度で予測できる可能性がある.現在,検査の選択から判断基準,実車評価の方法等も含めて議論が行われているところであり,高次脳機能障害者に対するoff-road評価(医療施設等で実施される事前評価)からon-road評価(自動車教習所で実施される実車評価)までの評価方法の構築が望まれる. |
キーワード | 高次脳機能障害,自動車運転,神経心理学的検査,事前評価(off-road評価),実車評価(on-road評価) |