老年精神医学雑誌 Vol.29-2
論文名 病院,施設における感染症のリスクとその管理
著者名 上田晃弘
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,29(2):125-129,2018
抄録 ・すべての患者のケアにおいて標準予防策を徹底する.とくに手指衛生は感染予防策の根幹をなす.
・感染経路別予防策には接触予防策,飛沫予防策,空気予防策があり,対象となる感染症により,標準予防策に加えて行う.
・市中からの感染症の持ち込みを防ぐため,呼吸器症状や胃腸症状を有する患者や面会者,職員を速やかに発見する.
・季節性インフルエンザなど,ワクチンで予防可能な感染症に対しては予防接種を行う.
キーワード 標準予防策,感染経路別予防策,予防接種
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論文名 認知症患者における長期入院の原因と考察;東京都立松沢病院認知症病棟,身体合併症病棟の現状から
著者名 菊地ひろみ,山口雅文,濱ア 鼓,志田沙耶,木村亜希子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,29(2):130-137,2018
抄録 認知症患者の入院は,主に身体合併症の治療が必要なために入院となる場合と認知症の行動・心理症状(BPSD)が家族や地域社会で対応しきれなくなり入院となる場合に分けられる.東京都立松沢病院は急性期病院であるため,急性期医療が終わった段階で速やかに住み慣れた地域に戻すことが病院全体の方針であるが,そのなかでも入院が長引くケースもある.本稿では,当院認知症病棟と身体合併症病棟の入院患者を対象として,入院が長期化する要因について検討した.
キーワード 認知症,身体合併症,長期入院,精神科ソーシャルワーカー(PSW)
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論文名 身体拘束と身体合併症リスク
著者名 犬尾英里子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,29(2):138-146,2018
抄録 認知症患者に対して行われる身体拘束は,精神的な興奮により患者自身に危険が伴うと精神保健指定医が判断して行われる精神科病床での身体拘束以外に,徘徊をしているため,歩行が不安定であるため,他の部屋へ入ってしまう等,「安全管理のため」という理由で精神科病床のみならず一般病床や施設で行われている.しかし身体拘束自体が原因となる身体合併症の発症リスクは,高齢患者の多い認知症患者では決して低くはない.身体拘束を行う際には,リスクについても十分検討したうえで,やむを得ず身体拘束をする場合には予防措置をとることが必要である.
キーワード 認知症,身体拘束,肺梗塞症,血栓症,身体合併症予防
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論文名 高齢者・認知症患者の身体拘束を削減するために;身体拘束と転倒・転落事故のリスク
著者名 中田信枝
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,29(2):147-157,2018
抄録 精神科病院で身体拘束を受けた患者が,2014年度に10年前の2倍に増えたことが厚生労働省の調査でわかり,身体拘束削減のための議論が湧き上がっている.身体拘束を削減するときに大きな壁となるのが医療安全の視点である.今回,公立精神科病院において,大幅に身体拘束数を削減することができた取組みについて紹介する.また,身体拘束数と転倒・転落事故報告数の推移より,身体拘束数と治療を必要とする転倒・転落事故件数との関連が見いだせないことが示唆された.
キーワード 身体拘束,転倒転落,リスク,高齢者,認知症
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論文名 在宅介護者の心理的リスクとその支援
著者名 湯原悦子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,29(2):158-163,2018
抄録 在宅介護者はさまざまな危機にさらされている.介護を担うことに納得していない介護者の場合,虐待のリスクが高まる.認知症の人への介護では,介護者が現実を受け止めきれない状態だと,行動・心理症状(BPSD)に怒りの感情が湧き,うつの危険性も高まる.その他「ケアする/ケアされる」という関係性は,介護者の要介護者への支配につながりやすい.支援者はアセスメントを通じてこれら危機に陥っている介護者を発見し,適切に介入し,彼らの孤立を防いでいくことが求められる.
キーワード 介護者,認知症,虐待,うつ,アセスメント
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論文名 病院,施設が抱える訴訟リスクとその管理
著者名 伊東亜矢子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,29(2):164-170,2018
抄録 病院や介護施設において高齢の患者/利用者に対するケアを行う際,注意を尽くしていても事故が起き,患者/利用者に有害事象が生じてしまうことがある.その場合に事故の責任をめぐって訴訟が提起され,敗訴となってしまうリスクをできる限り回避するためにどのような点に留意すべきかを,転倒・転落事故についての責任が問題となった裁判例の検討を通じ,考察する.
キーワード 訴訟,事故,高齢者,病院,施設
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論文名 行政政策プランに伴うリスク;若年性認知症に対する施策を中心に
著者名 干場 功
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,29(2):171-175,2018
抄録 若年性認知症本人・家族に対する施策について,本人・家族の代弁者として,2006(平成18)年に妻の看取りを終えた立場から,いかに政策プランが現場の声を反映されないままつくられているか.また,2001年に全国若年認知症家族会・支援者連絡協議会が創立,その後2006年に映画『明日の記憶』が公開されたことをきっかけに,同年の厚生労働省「本人ネットワーク支援事業」推進検討委員会,2008年の東京都認知症対策推進会議(若年性認知症支援部会),2010年の練馬区における各委員会での関わり方からみえたもの,感じたものについて考えてみた.
キーワード 若年性認知症診断,本人・家族支援,障害年金,高度障害,就労支援
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