論文名 | 限界社会と老年精神医学 |
著者名 | 深津 亮,原 祐子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,24(9):861-865,2013 |
抄録 | わが国は世界で初めて超高齢社会を迎えた.しかし,少子化と高齢化はさらに進行を続けて後期高齢者が増加を示し,大野晃のいう限界集落から消滅集落へと向かおうとしている.同時に高齢世帯が増え,独居老人が多くなり孤独死,無縁死が問題となっている.現在の日本の社会は激しい地殻変動にも似た変動のなかにあるといえる.それに挑戦して地域社会の再生を図るためにオレンジプランをはじめ新しいシステムの構築が不可欠と思われる. |
キーワード | 超高齢社会,限界集落,消滅集落,独居老人,孤独死,オレンジプラン |
論文名 | わが国人口の趨勢と見通し;高齢者に焦点をあてて |
著者名 | 阿藤 誠 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,24(9):866-873,2013 |
抄録 | 日本は今後半世紀の間なお高齢化が進行し,1世紀の間人口減少を続ける見通しである.これは主として長期に続く超少子化に起因する.地域別にみると高齢化も人口減少も非三大都市圏が先行しているものの,今後三大都市圏でも高齢者問題が深刻化する.少子化・高齢化の進行により,今後身寄りのない,一人暮らしの高齢者,施設居住の高齢者が急増する.高齢者を支える社会保障制度を維持するためには超少子化の克服が不可欠である. |
キーワード | 高齢化,人口減少,少子化,三大都市圏,一人暮らし高齢者 |
論文名 | 認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)の概要 |
著者名 | 三浦正樹 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,24(9):874-882,2013 |
抄録 | 厚生労働省では,平成24年6月に「今後の認知症施策の推進について」を報告し,「認知症になっても本人の意思が尊重され,できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会」の実現を目指すこととしている.具体的には,認知症の人が徘徊等の行動・心理症状等により「危機」が発生してからの「事後的な対応」から,今後は「危機」の発生を防ぐ「早期・事前的な対応」により「ケアの流れ」を変えることとしている.そのため,平成25年度から平成29年度までの5年間の具体的な計画として「認知症施策推進5か年計画」(オレンジプラン)を策定し推進しているところである. |
キーワード | 認知症ケアパス,認知症初期集中支援チーム,認知症疾患医療センター等,認知症サポーター,認知症ライフサポートモデル |
論文名 | 認知症早期支援体制;とくにアウトリーチ(訪問型ケア)の課題 |
著者名 | 粟田主一 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,24(9):883-889,2013 |
抄録 | 認知症早期支援体制の確立を目指した国のモデル事業「認知症初期集中支援チーム設置促進モデル事業」がスタートした.本事業は,地域包括支援センター等に専門職のチームを配置し,“サービスにつながっていない”または“BPSDに苦慮している”認知症の人を対象にアウトリーチによる支援を行い,認知症の人ができるかぎり住み慣れた地域で暮らせるようにすることを目指している.本事業の課題を,「地域包括支援センターの役割」「精神保健福祉相談事業との関連」「拠点となる医療機関の確保」という観点から論じた. |
キーワード | オレンジプラン,認知症初期集中支援チーム,地域包括支援センター,精神保健福祉相談事業,認知症疾患医療センター,認知症医療支援診療所 |
論文名 | 「2012京都文書」と京都式認知症ケア |
著者名 | 森 俊夫 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,24(9):890-896,2013 |
抄録 | 2012年2月,「京都式認知症ケアを考えるつどい」が開催され,参加者1,003人の拍手で「2012京都文書」が採択され,京都の認知症医療・ケアに一つの区切りがもたらされた.2013年には,認知症の「私」を主語にしてオレンジプラン最終年の京都を描いた「五年後の十二の成果指標」が採択され,それを実現するKN式認知症ケアパスが作成された.10月に公表される京都式オレンジプランには,評価指標としてアイメッセージの採用が予定されている. |
キーワード | KN式認知症ケアパス,十二の成果指標,京都式オレンジプラン,入り口問題,2012京都文書,京都式認知症ケアの定義十箇条 |
論文名 | 地域からの発想;熊本モデル |
著者名 | 田中優子,小嶋誠志郎,村田美希,板橋 薫,池田 学 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,24(9):897-904,2013 |
抄録 | 認知症疾患医療センターの役割として,専門医療相談,早期診断(鑑別診断)に基づく初期対応,認知症に伴う精神症状や行動障害(BPSD)の治療,身体合併症のマネジメント,かかりつけ医や介護スタッフとの連携・医療研修の実施,標準的な認知症医療の普及・啓発などがあり,熊本県では平成21年から基幹型センターと地域拠点型センターの2層構造(熊本モデル)で認知症疾患医療センターを運営している.本稿では,地域連携ネットワーク構築の最重要課題として基幹型センター(熊本大学病院)と地域拠点型センターが取り組んでいる人材育成について,そして地域連携についてわれわれが行っている横断的なアウトリーチと縦断的な地域連携パスについて紹介する. |
キーワード | 認知症,地域連携,認知症疾患医療センター,熊本モデル |
論文名 | 地域の実践;北海道・中空知地域における地域連携の取組み |
著者名 | 内海久美子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,24(9):905-912,2013 |
抄録 | オレンジプランに掲げられた@早期発見・早期対応とA地域での生活を支える医療・介護・家族への支援を中心に,2004年から始めた当地域での活動について紹介した.これらの役割を,もの忘れ専門外来の協働診療や「中空知・地域で認知症を支える会」が担ってきた.また地域全体で見守るためには,ボランティアや地域住民の協力も欠かせず,そのための組織化と条例が制定された.また地域連携手帳を作成・運用して,医療・介護情報の共有化と一元化を行った. |
キーワード | 協働診療,地域で支える会,ボランティアの活用,支え合い連携手帳,情報共有 |