論文名 | 認知症有病率と精神医療資源の今後 |
著者名 | 朝田 隆 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,23(5):535-543,2012 |
抄録 | 平成20(2008)年に推定された認知症有病率は12.4〜19.6%(平均14.4%)であった.今後は都市部における同様の調査を行って,本調査結果と比較検討することにより,全国レベルの有病率推定を行う必要がある.次に病院種別に認知症患者の特性に差異がみられた.寝たきり度,医療依存度ともに療養病床が最も高い.一方で,認知症医療における精神科の最大の特徴はBPSDにある.このように病院種別に機能分化がなされていると考えられる. |
キーワード | 認知症,有病率,介護保険,認知症医療,精神科病床 |
論文名 | 認知症と精神科医療 |
著者名 | 中谷祐貴子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,23(5):544-557,2012 |
抄録 | 今後の高齢化に伴い認知症の人が増加していくなかで,認知症に対する精神科医療の果たす役割を検討するため,「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」(主担当:厚生労働大臣政務官)において,認知症と精神科医療について,平成22年9月〜平成23年10月まで検討を行った.本稿では,検討チームにおける議論と,そのとりまとめの概要から,認知症患者に対する精神科医療の役割に関する考え方について概説する. |
キーワード | 精神科医療,認知症 |
論文名 | 精神科病床における認知症治療の現状と課題;2025年への提言 |
著者名 | 渕野勝弘 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,23(5):558-567,2012 |
抄録 | 公益社団法人日本精神科病院協会はわが国の精神科医療の将来ビジョンをとりまとめた.そのなかのひとつに「認知症と精神科医療」がある.精神科医療における認知症治療の現状と課題を明らかにし,2025年への具体的な施策について提言を行った.早期診断から終末期までの長い経過を介護・福祉と連携し,継続した精神科医療を行うことが重要である.精神科医療に求められている認知症治療について検討した. |
キーワード | 認知症治療病棟,重度認知症患者デイケア,認知症疾患医療センター,認知症クリニカルパス,認知症専門医 |
論文名 | 既存の精神科病院をつなぐ地域ネットワーク,熊本方式の現状と課題 |
著者名 | 丸山貴志,西田まゆみ,坂本眞一,池田 学 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,23(5):568-571,2012 |
抄録 | 熊本県認知症疾患医療センターにおける基幹型センターと地域拠点型センターの役割分担,センターの利用状況,入院患者の内訳や入院期間を中心に紹介し,精神科病床における入院期間短縮の課題について考察を加えた.地域拠点型センターの9か所はすべて民間の精神科病院に設置されている.主な役割は早期診断,治療計画の策定,BPSDに対する治療,合併症のマネジメント,地域の医療や介護との連携である.地域拠点型センターでは91日以上の入院が24%を占めたが,治療が長期化しているというよりはむしろ症状改善後の受け皿不足が原因であり,地域の受け皿を増やしたり精神科病院から家族や施設へのアウトリーチを実施するシステムを確立していくことが今後の課題である. |
キーワード | 認知症疾患医療センター,精神科病院,長期入院,BPSD,熊本モデル |
論文名 | 福祉施設ケアと精神科入院治療の現状と課題 |
著者名 | 小山 剛 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,23(5):572-577,2012 |
抄録 | 従来の認知症高齢者への対応は,福祉施設においても精神科病院においても認知症に対応しているのではなく,在宅生活の継続が困難になった介護者の代理として介護支援を行ったもので,在宅復帰に向けたリハビリテーションや治療は皆無であった.しかし認知症の人への支援においては,専門家の診断と,これに基づくチームによるかかわりが,「地域社会の生活の継続のなか」で行われなければならないし,入院治療や施設入所の期間があっても認知症の人を在宅生活に戻すことに基本をおかなければならない. |
キーワード | 早期の診断,チームによる支援,地域での生活が基本,24時間365日の支援,地域包括ケア |
論文名 | 訪問診療の立場からみた精神科入院医療の役割,現状と課題 |
著者名 | 木之下徹 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,23(5):578-585,2012 |
抄録 | 訪問診療の立場から,認知症を「自分ごと」と考えることを軸として論考した.精神科的な急変時の緊急対応の場としての技術的な連携の内容にも言及した.同時にそれ以外の場合に求められる生活の場としての機能についても加えて考察した.施策あるいは制度設計をするうえでも,今の地域の現状からみた必要性だけを論じるのと,自分にとって望ましいビジョンのもとで,今ある姿を一過程とみて論じるのとではその後の姿が異なる. |
キーワード | 訪問診療,精神科入院,パーソン・センタード・ケア,自分ごと,生活 |
論文名 | 低所得者の認知症医療と施設介護の現状と課題 |
著者名 | 繁信和恵,柏木一恵,比良美千代,山本めぐみ,駒野敬行,谷口典男 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,23(5):586-591,2012 |
抄録 | 超高齢社会を迎え,精神科病床における認知症患者の入院期間の長期化や社会的入院が問題となっている.入院期間が長期化する理由のひとつに,認知症の精神症状の入院治療終了後,在宅への退院が困難な場合,経済的理由から入所施設の選択肢が狭まり,施設への速やかな移行が困難であることが考えられた. |
キーワード | 認知症,低所得者,ユニット型特別養護老人ホーム,経済的理由 |