論文名 | Community-based integrated careの基本的な考え方;地域包括ケアシステムにおける認知症患者への支援 |
著者名 | 筒井孝子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,23(3):271-279,2012 |
抄録 | 日本は,これまでのピラミッド型医療圏を前提とした医療サービス提供の仕組みを,地域圏をベースとした他職種連携による医療・介護サービス提供体制(地域包括ケアシステム)とする組み換えを急いでいる.本稿では,この新たなシステムの定義に含まれる2つの独立したコンセプトの基本的な考え方を説明しながら,今,日本が早急に取り組むべき地域の認知症高齢患者への医療・介護サービス提供のあり方を論ずることを目的とした. |
キーワード | community-based integrated care,integrated care,care pathway,地域包括ケアシステム |
論文名 | 認知症ケアにおける地域連携の政策的展望 |
著者名 | 武田章敬,堀部賢太郎 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,23(3):280-286,2012 |
抄録 | 平成24年度から施行される改正介護保険法の理念は「地域包括ケアシステムの構築」である.環境変化に脆弱な認知症の人にとっても日常生活圏域で必要なサービスが切れ目なく提供されることはひときわ重要である.現在,認知症の人と家族が住み慣れた地域で生活し続けることを支援するために,認知症サポート医養成研修事業,かかりつけ医認知症対応力向上研修事業,認知症疾患医療センター運営事業,市町村認知症施策総合推進事業等が行われており,平成23年11月にとりまとめられた「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム(第2R:認知症と精神科医療)」報告書でも「入院を前提とせず,地域生活を支える」認知症医療の方針が打ち出されている.認知症の人と家族の生活の質を向上させるために,地域の関係者が連携する必要性がさらに高まっている. |
キーワード | 介護保険法改正,地域包括ケアシステム,かかりつけ医,認知症サポート医,認知症疾患医療センター,認知症地域支援推進員 |
論文名 | かかりつけ医制度の現状と課題 |
著者名 | 鷲見幸彦 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,23(3):287-293,2012 |
抄録 | 認知症ケアと医療の地域連携の必要性についてかかりつけ医の視点から述べた.かかりつけ医には@早期段階での発見・気づき,A専門医療機関への受診誘導,B一般患者として日常的な身体疾患対応,健康管理,C家族の介護負担,不安への理解,D地域の認知症介護サービス諸機関との連携,E地域の人たちへの啓発活動などの役割が期待され,知識・理解の向上が求められている.地域連携の構築にはかかりつけ医を支える複数のシステム(認知症サポート医,専門医療機関,医師会の協力,地域包括支援センター)が必要であるが,地域ごとの実態は明らかでなく地域差が大きいことが推測される. |
キーワード | 認知症,地域連携,かかりつけ医,サポート医 |
論文名 | 認知症疾患医療センターの連携機能 |
著者名 | 小嶋誠志郎,池田 学 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,23(3):294-298,2012 |
抄録 | 認知症疾患医療センターの役割として,専門医療相談,早期診断(鑑別診断)に基づく初期対応,認知症に伴う精神症状や行動障害(behavioral and psychological symptoms of dementia;BPSD)の治療,身体合併症のマネジメント,かかりつけ医や介護スタッフとの連携・医療研修の実施,標準的な認知症医療の普及・啓発などがあり,熊本県では2009年から基幹型センターと地域拠点型センターの2層構造(熊本モデル)で認知症疾患医療センターを運営している.本稿では,地域連携ネットワーク構築の手段として基幹型センター(熊本大学病院)が実施している人材育成機能(事例検討会・かかりつけ医研修・サポート医研修)について紹介する. |
キーワード | 認知症,地域連携,認知症疾患医療センター,熊本モデル |
論文名 | 地域包括支援センターの機能;現状と課題;仙台市における認知症対策の取組みから |
著者名 | 菊地和子,佐藤彰子,山口健太,福本 恵 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,23(3):299-304,2012 |
抄録 | 全国の各自治体では,高齢化の進展に伴い,さまざまな認知症の対策を講じているが,比較的人口規模の大きい仙台市においては,中学校区を基本に設置され,地域住民や関係機関と密接なネットワークを構築している地域包括支援センターが大きな役割を果たしており,認知症対策への取組みによって構築・強化された関係者とのネットワークが,センターの通常業務や災害時対応に活かされるといった効果が生まれている.ただし,センターが取り組む認知症対策については,全国版のマニュアルには明確に位置づけられていないことから,自治体独自の視点から方針を示すとともに,センターの円滑な活動を支援するための取組みを進める必要がある. |
キーワード | 高齢者,認知症,地域包括支援センター,認知症地域支援推進員,地域連携 |
論文名 | 地域連携のための認知症地域支援推進員の役割 |
著者名 | 大島憲子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,23(3):305-313,2012 |
抄録 | 認知症の人が住み慣れた地域で暮らしていくことが継続できるための支援について,平成23年度「市町村認知症施策総合推進事業」のなかで位置づけられた認知症地域支援推進員の役割から,認知症の人の地域における現状と施策について概観した.さらに,認知症地域支援推進員研修受講者の状況から連携のための条件,課題を整理し,地域連携を図るうえでの認知症地域支援推進員の役割について考察した. |
キーワード | 地域連携,認知症地域支援推進員,市町村認知症施策総合推進事業,地域包括ケア体制,認知症疾患医療センター |
論文名 | 認知症地域連携パス |
著者名 | 杉山博通,数井裕光,繁信和恵,田伏 薫,武田雅俊 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,23(3):314-322,2012 |
抄録 | 認知症地域連携パスとは,認知症患者がいつ,どこで,どのような医療やケアを受ければよいのか,その標準的な手順を視覚化してわかりやすく提示したものである.筆者らは,@認知症の気づき〜診断,A非日常診療,B日常在宅診療およびケア,の3部分に分けたパスを提案した.またパスを補完する連携ツール(「連携ファイル」「疾患別・重症度別ガイドブック」)を作成し,活用することとした. |
キーワード | 認知症,地域連携,連携パス,連携ファイル |