老年精神医学雑誌 Vol.22-3
論文名 認知症のリハビリテーション;今後への期待
著者名 笠原洋勇
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,22(3):257-263,2011
抄録 頭部外傷,脳血管障害のリハビリテーションの経験は,認知リハビリテーションという新しい分野の確立に寄与した.認知症のリハビリテーションは,この成功を背景として実践されたが,その効果については,有効であるとする意見と十分な検証を経ていないとする意見がある.今日,認知症の治療,予防,進行阻止についてさまざまな手法が提唱されているが,どのような有効性があるのか明確にされる必要がある.薬物療法が将来可能となったとしても,認知リハビリテーションを含む非薬物療法のもつ役割は大きいと考えられる.
キーワード 認知リハビリテーション,認知症,神経心理学,認知心理学,非薬物療法
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論文名 認知症を伴う言語・聴覚障害の評価とリハビリテーション
著者名 綿森淑子,上杉由美,久保眞清
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,22(3):264-271,2011
抄録 認知症を伴う言語・聴覚障害の症状と評価法,およびリハビリテーションについて症例を呈示して具体的に述べた.会話のできない認知症者とかかわる介護者は不安を訴えることが多いといわれる.言語聴覚士がかかわることによって当事者の潜在能力や意思,生活史を引き出し,それをチームで共有することは当事者の「その人らしい」生活を支え,尊厳を高めるうえでも,またケアに当たる人々の介護負担を軽減するうえでもきわめて重要である.
キーワード 認知症,難聴,運動障害性構音障害,失語症,リハビリテーション
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論文名 認知症を伴う歩行障害の評価とリハビリテーション
著者名 岡村太郎,竹下安希子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,22(3):272-279,2011
抄録 認知症を伴う歩行障害に関する評価とリハビリテーションを考えるうえで,心身機能面だけでなく個人・環境因子,活動・参加等の多面的な要素がかかわる.今回,歩行障害に関連する評価として,アルツハイマー病の重症度の評価を紹介し,基本的能力,活動・参加,認知機能等に関連する評価を提示した.また,臨床でよく使う評価と歩行障害の実際を検討した.さらに,認知症を伴う歩行障害に関するリハビリテーションを紹介する.
キーワード 認知症,アルツハイマー病,歩行障害,評価,リハビリテーション
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論文名 記憶障害の評価とリハビリテーション
著者名 清水 一
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,22(3):280-289,2011
抄録 認知機能の病的退行で最初に気づかれる記憶障害は認知症の中核症状である.認知症に対するリハビリテーションの目的は症状への直接介入よりも,認知機能に障害があるが社会参加や日常的生活を可能な限りその障害がある認知機能も使って追求するための支援をすることである.そのためにも中核症状の記憶障害の特性理解とその機能状態なりに環境との機能的な交流を続けさせる支援技術が必要である.認知情報処理モデルを中心に記憶の捉え方とリハビリテーション介入の概要について論じる.
キーワード 認知情報処理モデル,作動記憶,認知機能水準,潜在記憶,顕在記憶
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論文名 見当識障害の評価とリハビリテーション
著者名 繁信和恵
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,22(3):290-294,2011
抄録 見当識障害は認知症の中核症状である.見当識障害の悪化は,認知症高齢者の日常生活活動に混乱を招く.認知症の患者の見当識障害を正確に評価し,それに対する介入やケアが必要である.介入方法のひとつに現実見当識訓練がある.3か月程度の短期間の効果は報告されている.しかし長期的効果は明らかでない.そのため見当識障害がもたらす混乱を少しでも軽減できるように,長期にわたるケアの場面の工夫が必要である.
キーワード 認知症,見当識,見当識障害,現実見当識訓練,リハビリテーション
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論文名 注意障害の評価とリハビリテーション
著者名 小西海香,陳 韻如,加藤元一郎
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,22(3):295-301,2011
抄録 注意はあらゆる認知機能の基盤をなしている.それゆえに,さまざまな認知機能障害には何らかの注意障害が含まれていることが多い.認知症においても注意力低下の症状が多くみられる.認知リハビリテーションの観点からも,注意障害を機能的側面に分類して評価することは重要である.注意機能に特化した有用な評価法には,標準注意検査法(CAT)がある.注意の認知リハビリテーションにはいくつかのアプローチがあり,主に直接刺激法と呼ばれる手法がよく用いられるが,現在も発展途上の段階である.
キーワード 認知症,注意,認知リハビリテーション,CAT,APT
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論文名 ADL障害の評価とリハビリテーション
著者名 佐藤眞一,島内 晶
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,22(3):302-311,2011
抄録 認知症患者は中核症状である認知機能障害に加えてADL・IADLの低下が認められる.運動障害によるADL・IADLへの直接的な影響および実行機能障害による間接的影響とリハビリテーションの必要性を論じた.要介護高齢者の多くに認知症が認められることから,厚生労働省の認知症高齢者および障害高齢者の自立度判定基準の組合せ判定によって,要介護度と介護環境の予測が可能であることを示した.また,認知症患者に使用することを前提としたADL・IADL評価法を紹介した.
キーワード 認知症,ADL,IADL,評価,リハビリテーション
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