老年精神医学雑誌 Vol.21-4
論文名 認知症疾患医療センターの展望と期待;行政の立場から
著者名 野崎伸一
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,21(4):403-411,2010
抄録 認知症医療の地域の中核機関として,平成20年度に認知症疾患医療センター運営事業が創設された.身体合併症への対応機能の強化,認知症疾患医療センターの整備促進のため,平成22年度予算案において,総合病院型センターの類型を創設し,平成22年診療報酬改定においても評価の見直しを行う予定である.今後,平成24年の診療報酬・介護報酬の同時改定を見据えて,認知症疾患医療センターを中核とする地域支援体制の構築に向け検討を深めていく.
キーワード 医療連携,医療・介護連携の地域の中核,総合病院型センターの創設,身体合併症への救急機能強化,院内連携の中核,専門医療機能のいっそうの強化・重点化
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論文名 認知症疾患医療センターに対する期待と課題
著者名 粟田主一
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,21(4):412-420,2010
抄録 地域包括支援センターや医師会登録医療機関の調査から,認知症の専門医療相談,鑑別診断,合併症・周辺症状の急性期医療に対応できる専門医療資源の整備が強く求められている現状が明らかになった.しかし,認知症疾患医療センターがその役割を遂行するためには,専従の医療相談室の設置,院内連携・地域連携システムの整備,病棟看護師の適正配置,高齢者の精神科医療を担う医師の育成など,克服されなければならない課題が山積している.認知症疾患医療センターが地域包括ケアを推進する原動力になることを期待したい.
キーワード 認知症疾患医療センター,地域包括支援センター,医師会登録医療機関,医療相談室,地域包括ケア
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論文名 認知症疾患医療センターに対する期待;かかりつけ医の立場から
著者名 真田順子,北村ゆり
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,21(4):421-425,2010
抄録 無床診療所の専門医として認知症疾患医療センターに望むことを述べた.
(1)地域の老年精神医学専門医を組織化し活用して,円滑な診療体制を組むとともに,専門医の再学習や研究の場になること.
(2)内科かかりつけ医,認知症サポート医,介護保険関連業種の連携を考えた研修事業を計画すること.
(3)地域の医療福祉サービスの情報センター機能を担うこと.
(4)若年性認知症の診療と介護モデルの研究に取り組むこと.
キーワード 認知症,鑑別診断と初期対応,もの忘れ外来,地域連携,かかりつけ医
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論文名 認知症疾患医療センターに対する期待;介護職の立場から
著者名 武田純子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,21(4):426-431,2010
抄録 認知症のグループホームが制度化され,研修が義務づけられて10年になった.認知症ケアの専門性が求められ,疾患に対する研究も進み多くのことが明らかになりつつある.的確な診断とパーソン・センタード・ケアによって,中核症状をもちながらも,尊厳ある生活を維持し,生きる希望をもちながら,楽しく豊かな生活を送るという希望のもとに考えたいと思っている.今後,認知症疾患医療センターができるということで,専門的な医療とケアの現場がどのように連携することがよいのかを介護現場から発言し,認知症の人を支えるネットワークに,発信できることをうれしく思う.
キーワード 生活,家族支援,個別ケア,疾患別ケア,連携
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論文名 認知症疾患医療センターの役割と課題;地域連携の実践の立場から
著者名 内海久美子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,21(4):432-437,2010
抄録 砂川市立病院では2004年よりもの忘れ専門外来を開設するとともに,中空知・認知症を支える会を発足し,各診療科とコメディカルスタッフの協働による院内連携のみならず,医療・介護・福祉の連携を行い情報の発信と共有化を図ってきた.当地北海道においては2010年度にようやく「認知症疾患医療センター」事業に取り組むこととなり,当院も認定施設となる予定である.これまでの6年間の活動を振り返り,今後認知症疾患医療センターとしてなすべき役割とみえてきた課題について論考した.
キーワード 診療科の協働,地域連携,情報共有,情報発信
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論文名 熊本県認知症疾患医療センターの取組み
著者名 池田 学,小嶋誠志郎
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,21(4):438-443,2010
抄録 熊本県で展開している独自の認知症疾患医療センターの活動(通称:熊本モデル)を紹介した.本モデルの特徴は,1か所の基幹型センター(大学病院)と7か所の地域拠点型センター(精神科病院)の2層構造からなり,これら8つのセンターが一体となって,熊本全県の認知症医療を支援することにある.また,相談業務については,「認知症の人と家族の会 熊本県支部」にコールセンターの業務が委託され,介護相談などを担当するとともに,真に医療相談が必要となる事例を最寄りの地域拠点型センターに振り分ける業務を実施している.さらに,介護との連携については,各地域拠点型センターの連携担当者と,各センターの担当地域に設置された認知症対応強化型地域包括支援センター(現在5か所は設置済み,残り2か所は準備中)の連携担当者により密接な連携が展開されつつある.
キーワード 認知症疾患医療センター,熊本モデル,早期診断,BPSD,身体合併症
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