論文名 | 高齢者のこころの健康と地域づくり |
著者名 | 本橋 豊,金子善博,藤田幸司 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,20(5):509-514,2009 |
抄録 | 世界同時不況に象徴される社会経済状況の大きな変化は高齢者のこころの健康にも影響を及ぼすことが懸念される.高齢者のこころの健康には個人的要因のほか,社会的自立度の低さや社会的交流の低さや閉じこもりといった要因が指摘され,地域づくりとしてのこころの健康増進の重要性が示唆されている.人と人とのつながりや信頼(ソーシャル・キャピタル)を強化することの意義が地域づくり型自殺対策との関連で注目を浴びている. |
キーワード | 高齢者,閉じこもり,地域づくり,自殺対策,ソーシャル・キャピタル |
論文名 | 運動機能向上事業からみた高齢者のこころの健康と地域社会の創造 |
著者名 | 永富良一 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,20(5):515-519,2009 |
抄録 | 高齢者にとって体力の低下は自立した生活を困難にする.運動機能向上事業は高齢者の自立を支援するための活動であり,継続的に実施することにより運動機能の低下を抑制することができる.しかし抑うつ状態に陥った高齢者あるいは認知症初期にある高齢者の参加は困難である.こころのケアを補うことにより,このような高齢者が主体的に参加できるあるいは取り組めるような運動が行える場があることが望ましい.高齢者のグループによるさまざまな人生の知恵を生かした楽しくかつ十分に体を使う運動を行い,支え合う雰囲気づくりが必要である. |
キーワード | 運動機能,体力,転倒予防,抑うつ,QOL |
論文名 | 食事サービスからみた高齢者のこころの健康と地域社会の創造 |
著者名 | 野村知子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,20(5):520-528,2009 |
抄録 | 食事サービスを「生活支援」という機能を主目的とする活動と,「まちづくり」の手段を主目的とする活動に分ける見方を提示した.「生活支援」については,配食サービスの利用が健康増進に寄与することを9年間の継続調査で示唆した.「まちづくり」については,食を通して地域住民と高齢者や障害者とのつながりを育むこと,施設誘致のソーシャルアクションの手段となりうること,多世代交流・子育て支援につながる可能性があることを述べた.また生活の質への効果として,配食サービスは「安心感」に,会食サービスは「生活のはり」に寄与することを示唆した. |
キーワード | 食事サービス,配食サービス,会食サービス,生活の質,健康増進,まちづくり |
論文名 | 口腔機能向上事業からみた高齢者のこころの健康と地域社会の創造 |
著者名 | 寺岡加代 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,20(5):529-535,2009 |
抄録 | 高齢期においては精神・社会面の活動性が健康に大きくかかわる.口腔機能は,食事や会話のためのツールとして,社会交流には欠かせない機能であることから,口腔機能向上事業が地域支援事業のひとつに加えられた.高齢者の地域での自立した生活を支えることをゴールとする本事業は,地域社会のあり方を見直す契機にもなると考える. |
キーワード | 口腔機能,精神活動,地域支援事業,地域社会 |
論文名 | 閉じこもり予防・支援からみた高齢者のこころの健康と地域社会の創造 |
著者名 | 山崎幸子,安村誠司 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌, 20(5):536-541,2009 |
抄録 | 高齢者の閉じこもりは,要介護の要因として近年注目され,平成18年の改正介護保険法のもと,地域支援事業における介護予防のなかに,閉じこもり予防・支援として,位置づけられた.閉じこもりは,外出頻度が「週1回未満」の場合と定義され,身体的,心理的,社会・環境要因の3要因が相互にかかわり発生する.閉じこもりの解消は容易ではない.特定高齢者を対象として,ライフレビューという心理的介入を用いた訪問の有効性が示唆されている.また,一般高齢者施策として,高齢者ボランティアの養成と活用が地域づくりに結びつくと考えられる. |
キーワード | 外出,住習慣,ライフレビュー,自己効力感,高齢者ボランティア |
論文名 | 認知症予防・支援からみた高齢者のこころの健康と地域社会の創造 |
著者名 | 宇良千秋 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,20(5):542-546,2009 |
抄録 | 知機能の維持や認知症の予防は,高齢者が少しでも長く自立した生活を続けてこころの健康を保つためには,重要な課題であるといえよう.認知症発症のメカニズムや影響因子を考慮すると,地域全体の認知症発症率を抑制するためには,地域高齢者の生活習慣が,認知症発症のリスクを低減するような生活習慣に変わるということが目標となる.高齢者の行動変容を促進するために地域で取り組むべきことは,認知症予防の啓発と仲間づくりであると考える. |
キーワード | 認知症予防,行動変容,啓発,仲間づくり |
論文名 | うつ予防・支援からみた高齢者のこころの健康と地域社会の創造 |
著者名 | 粟田主一 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,20(5):547-553,2009 |
抄録 | 高齢者のうつ病対策の重要性を要約し,各地で動き出した地域支援事業「うつ予防・支援」の概要を紹介した.本事業が果たすべき役割は,高齢者のこころの健康の保持・増進を明確な目標に据えて,その土地の歴史・風土・文化に応じた魅力的な地域活動と多面的なソーシャルサポートの資源を高齢者が暮らす生活圏域に創出し,そのような活動を通して,高齢者が尊厳をもって,安心して暮らせる地域社会を,官民一体で創造することにある. |
キーワード | うつ病,地域支援事業,ソーシャルサポート,自殺予防,介護予防 |