論文名 | わが国の認知症診療ガイドライン |
著者名 | 中島健二 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,20(4):387-392,2009 |
抄録 | 認知症診療に関するエビデンスレベルの高い検討は少なく,とくに,わが国で出されたエビデンスは少ない.このため,認知症の診療に関するガイドラインは,主として海外から報告された成績を参考にして作成せざるを得ない.今後,わが国における認知症診療のエビデンスの高い検討を進め,日本人に合った治療やわが国の社会的・文化的な実情に応じたケアや介護などを明らかにして,診療ガイドラインを作成する必要がある. |
キーワード | ガイドライン,認知症,治療,介護,ケア |
論文名 | アメリカの認知症診断ガイドラインと課題 |
著者名 | 元木順子,ヴェロニカ・カーラット,三村 將 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,20(4):393-398,2009 |
抄録 | アメリカの臨床現場では,認知症の診断にはNational Institute of Neurological, Communicative Disorders and Stroke-Alzheimer's Disease and Related Disorders Association(NINCDS-ADRDA)Work Groupによる診断基準と,Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 3rd edition revised(DSM-IV-R)ないし4th edition(DSM-IW)の診断基準が最もよく用いられている.2001年,米国神経アカデミーは1985年から1999年の文献をレビューし,エビデンスに基づいた高齢者診療における認知症の臨床ガイドラインを提唱した.このガイドラインはエビデンスレベルによって“Practice Standards”“Guidelines”“Options”の3分類に分けられている.このアメリカ臨床における認知症ガイドラインを概説し,今後の課題と展望についてふれた. |
キーワード | dementia,Alzheimer's disease,clinical practice,guideline,diagnostic criteria |
論文名 | アメリカの認知症治療・ケアガイドラインと課題 |
著者名 | 小林直人 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,20(4):399-406,2009 |
抄録 | 米国内科学会および米国精神医学会の最新版のガイドラインを中心に,認知機能の治療,BPSDの治療,心理社会的治療,ケアについてのそれぞれのガイドラインを総括した.今後,薬物治療においては,治療が入院に及ぼす影響や適切な治療期間,臨床効果の比較,併用療法の効果,薬剤の選択基準などを明らかにしていくことが求められている.また,エビデンスの乏しい心理社会的治療やケアの効果を明らかにする研究も求められている. |
キーワード | アルツハイマー病,BPSD,コリンエステラーゼ阻害薬,ドネペジル,心理社会的治療 |
論文名 | カナダの認知症診療ガイドラインと課題 |
著者名 | 角 徳文 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,20(4):407-413,2009 |
抄録 | カナダにおける認知症の診療ガイドライン作成の動きは,1989年に開かれたthe Canadian Consensus Conference on the Assessment of Dementia(CCCAD)に始まる.以降2回の改訂を経て,2006年にthe third Canadian Consensus Conference on the Diagnosis and Treatment of Dementia(CCCDTD3)が開かれ,リスク評価と一次予防,診断,MCI,軽度〜中等度の認知症への対応,および非薬物療法と薬物療法,そして高度アルツハイマー病への対応の146のトピックにわたるconsensus statementが提示されている.本稿では,その概略について述べる. |
キーワード | 認知症,アルツハイマー型認知症,診療ガイドライン,介護 |
論文名 | イギリスの認知症診療ガイドラインと課題 |
著者名 | 本間 昭 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌, 20(4):414-420,2009 |
抄録 | 海外で作成されたアルツハイマー病(AD)を含む認知症の診療ガイドライン(CPG)のなかで現時点では最も広範なCPGであるイギリスのCPGを紹介した.冒頭に差別の禁止が明確に示されている点は大きな特徴である.ADの認知機能障害に対するAChEIを用いた薬物療法では医療経済学的な観点からMMSEで10〜20点の中等度の重症度に限定され(NICE Technology Appraisal Guidance 111),他のガイドラインとは異なっている.適応を考える際の医療経済学的な観点の取り扱いに関して今後の課題となろう. |
キーワード | 認知症,アルツハイマー病,ガイドライン,自立支援 |
論文名 | 各国の認知症と自動車運転に関するガイドラインと課題 |
著者名 | 上村直人,谷勝良子,井関美咲,諸隈陽子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,20(4):421-435,2009 |
抄録 | 認知症ドライバーに関する医学的ガイドラインについて,諸外国の医学術誌を中心に概観した.認知症患者の自動車運転の問題や医学的検討は,1990年代から欧米諸国を中心として注目されてきた.また近年わが国においても高齢者の交通事故が問題となり,そのなかでも認知症ドライバーの問題が一般社会でも注目されてきている.しかしながら認知症患者の運転に関する医学的研究や検討自体がほとんどなく,また欧米においても医学的なガイドラインは存在しながらも,まだまだ不十分な点も多い.またわが国でも認知症と自動車運転の対策は欧米同様の課題を抱えているが,これまでの日本の現状と2009年から開始される認知機能検査制度についてさらに解説した. |
キーワード | dementia,driving,medical guidelines,assessment of driving ability,social support system |
論文名 | イギリスの新成年後見制度(Mental Capacity Act 2005)における意思能力判定とわが国における課題 |
著者名 | 五十嵐禎人 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,20(4):436-442,2009 |
抄録 | Mental Capacity Act 2005(2005年意思決定能力法,以下,「2005年法」)は,法定後見制度と任意後見制度を統合し,財産管理のみならず身上監護をも対象とする総合的な自己決定支援としての成年後見制度の実現を目指した法律である.本稿では,2005年法による新成年後見制度の概要,とくに意思決定能力の定義やその判定基準,実際に裁判所に提出される精神鑑定書の具体的な記載方法などについて紹介し,わが国の成年後見制度の課題について述べた. |
キーワード | 意思能力,行為能力,成年後見制度,精神鑑定,司法精神医学 |