論文名 | 高齢者総合機能評価と認知症疾患の鑑別診断を普及させるために |
著者名 | 粟田主一 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,19(7):731-734,2008 |
抄録 | 認知症に対する質の高い医療とケアの前提には,認知症疾患の鑑別診断がある.しかし,認知症疾患の鑑別診断を質の高い医療とケアに着実に結びつけるには,高齢者総合機能評価(CGA)という老年医学の基本的技術が必要となる.ところで,わが国の認知症疾患に対する医療資源は今なおきわめて不十分な状況にあり,認知症疾患の鑑別診断やCGAの実践を阻む要因は少なくない.CGAと認知症疾患の鑑別診断を効率的に実施できる体制を整備することは,わが国の認知症対策の喫緊の課題である. |
キーワード | 高齢者総合機能評価,認知症疾患の鑑別診断,医療とケアの質,認知症疾患の医療資源,認知症疾患医療センター |
論文名 | 認知症疾患患者の総合的機能評価 |
著者名 | 木村紗矢香,鳥羽研二 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,19(7):735-739,2008 |
抄録 | 認知症を呈する疾患にはさまざまなものがあり,早期に正確な診断をすることが求められる.高齢者の総合的機能評価(Comprehensive Geriatric Assessment ; CGA)は,画像検査や認知機能検査だけではとらえられない患者の臨床像をさまざまな角度から評価することができ,診断に有用な手段である.また,1人ひとり異なる患者の臨床像を包括的にかつ系統的に評価することもできるため,定量的に比較検討することが可能である.今後はCGAの結果を蓄積し集約することで,より診断に生きた情報になっていくことを願う. |
キーワード | 認知症,総合的機能評価,鑑別診断,認知機能,生活機能 |
論文名 | 認知症疾患鑑別診断のためのアルゴリズム |
著者名 | 黄田常嘉,新井平伊 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,19(7):740-749,2008 |
抄録 | 認知症の原因疾患は多岐にわたり,アルゴリズムを活用してそれらを的確に鑑別診断することは,治療,介護,経過予後予測などの患者評価に重要な意味をなす.認知症疾患鑑別診断のためのアルゴリズムとして国際的に確立したものは目下存在しないが,本稿ではその必要性の高まりを踏まえ,アルツハイマー病(AD)をはじめとする代表的認知症疾患の診断基準と画像所見とに基づき,近年考案された2種類のアルゴリズムについて概説した. |
キーワード | 認知症,アルツハイマー病,鑑別診断,アルゴリズム,ガイドライン |
論文名 | ものわすれ外来における高齢者総合機能評価と認知症疾患の鑑別診断 |
著者名 | 望月るり子,野村 宏 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,19(7):750-755,2008 |
抄録 | ものわすれ外来は高齢者総合機能評価のなかでは,認知症の診断・疾患の評価に当たる部門と位置づけられる.認知症診断は臓器としての「脳」の評価以外の事柄も総合的に含んだうえでなされるわけであるから,ものわすれ外来自体に高齢者総合機能評価が内蔵されるのが理想的である.とはいえ,煩雑な外来では,診断に使え,かつ介護に生かせる一石二鳥の評価法を選択するのが現実的である. |
キーワード | ものわすれ外来,高齢者総合機能評価,認知症,神経内科 |
論文名 | 高齢者総合外来における高齢者総合機能評価と認知症疾患の鑑別診断 |
著者名 | 遠藤英俊,洪 英在,佐竹昭介,三浦久幸 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,19(7):756-761,2008 |
抄録 | 高齢者総合機能評価(CGA)は高齢患者のADLや認知機能の評価を入院時や初診時に行うことで,高齢患者の診療に有用であり,認知症患者においても医療面だけでなく,生活面の情報を得ることで,全人的,包括的医療に有用である.CGAは認知症の鑑別,周辺症状の把握に利用可能である.さらにCGAは鑑別のほか,病気の経過や診療計画の立案にも有用である.認知症の診療にはCGAのほか,チーム医療が重要である.これにより高齢者をより多角的,多面的すなわち,包括的・全人的医療を実践することが可能となる. |
キーワード | 認知症,CGA,鑑別,後期高齢者医療制度 |
論文名 | かかりつけ医の認知症疾患鑑別診断技術の向上を目指して |
著者名 | 繁田雅弘,粟田主一,池田 学,浦上克哉,植木昭紀,北村 伸,中村 祐,本間 昭 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,19(7):762-766,2008 |
抄録 | かかりつけ医の認知症診療への参加を促進するため,2002年より開発を行ってきた認知症診療のための研修プログラムを紹介した.このプログラムは,認知症の症候だけでなくうつ病やせん妄などの病像をかかりつけ医に実感をもって理解してもらうため多くの動画を作成した.また,問診,神経学的所見のとり方,病名告知の仕方について専門医の診療場面を動画で再現した.さらに,講師による面接や診察のデモンストレーションや,模擬患者を相手に参加者が認知症の診察を体験するなどの試みも行った. |
キーワード | 研修,告知,法制度,デモンストレーション,模擬患者 |
論文名 | 大都市における高齢者総合機能評価と認知症疾患の鑑別診断 |
著者名 | 山中 崇 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,19(7):767-774,2008 |
抄録 | 高齢者総合機能評価は,疾患の診断や治療にとどまらず,日常生活動作,認知機能,抑うつ,QOL,意欲,栄養,生活状況などを総合的に評価し,QOL向上を目指すものである.早期の認知機能障害は,生活機能障害から気づかれる場合が多く,認知症の早期診断において高齢者総合機能評価は有用である.病歴聴取,認知機能検査,頭部画像検査を含めた包括的アプローチを行うことにより認知症診断の精度向上が期待される. |
キーワード | 高齢者総合機能評価,生活機能,もの忘れ,認知症,アルツハイマー型認知症 |
論文名 | 農村部・過疎地域における高齢者総合機能評価と認知症疾患の鑑別診断 |
著者名 | 八森 淳 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,19(7):775-780,2008 |
抄録 | 農村部・過疎地域は高齢化が進み高齢者医療の充実が住民の医療を守るうえでも重要である.農村部・過疎地域は医療資源が豊富とはいえないが,それ故に総合的・包括的医療の素地が構築され高齢者総合機能評価が根づきやすい素地がある.そのような利点のもと高齢者総合機能評価は認知症の早期発見,鑑別診断に活用でき,さらには地域の介護・福祉資源,住民の組織団体との連携のための情報となり,適切な支援につなげるうえでも活用できる. |
キーワード | 認知症,高齢者総合機能評価,農村部・過疎地域,総合的・包括的医療,手段的ADL(IADL),発症・進行の時間経過と鑑別診断 |