老年精神医学雑誌 Vol.19-6
論文名 認知症ケアはここまで進んだ
著者名 加藤伸司
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,19(6):629-635,2008
抄録 認知症のケアは,当初身体介護中心・問題対処型ケアであったが,その後アクティビティ中心の集団対応的なケアに移行し,認知症の「人」を中心にして支援するというパーソン・センタード・ケアの考え方も影響して,現在では,個人を中心とした残存機能を活用した生活支援型ケアが主流になってきている.また,認知症の人を社会で支えるという考え方から,住み慣れた地域で自分らしく生きるためのサポート体制が構築され始めている.
キーワード 認知症,BPSD,生活支援型ケア,パーソン・センタード・ケア,地域
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論文名 老人看護専門看護師の認知症ケアにおける活動の現状と今後の課題
著者名 堀内ふき
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,19(6):636-641,2008
抄録 わが国における老人看護専門看護師の教育課程,教育理念や教育目標,そして専門看護師に求められる6つの役割―実践,相談,調整,倫理調整,教育,研究について述べ,老人専門看護師の教育がどのように行われているかを述べた.また,現在いる12人の老人看護専門看護師の活動内容とその課題,さらにはどのような働きを目指しているのかを示した.とくに認知症ケアについては,老人看護専門看護師の重要な役割のひとつであるが,現実には医療の場での活動がほとんどであり,今後の福祉領域における活動の必要性とそのニーズについて述べた.
キーワード 認知症ケア,老人看護専門看護師,専門看護師,老年看護学
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論文名 認知症看護認定看護師の活動状況と今後の課題
著者名 唐澤千登勢
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,19(6):642-649,2008
抄録 本稿では,認知症看護認定看護師養成機関である日本看護協会看護研修学校認知症看護学科での教育プログラムおよび修了生の活動状況について総括した.さらに,医療現場の実態や環境,および認定看護師自身の活動内容や意識変化などについてデータ紹介を含めて言及するとともに,認定看護師養成における現状の課題を明示し,さらにその解決策を提示しようと試みた.各調査結果から,各人が努力して専門的実践活動を行っている実情はうかがえた.しかし,現時点では認定看護師の専門性を十分に発揮しているとはいえない活動状況の現実が浮かび上がってきた.今後,原因分析と解決策の立案を綿密に行い,認定看護師個々人と組織である職場が協力して適宜,これらを実施していくことが重要である.こうしたプロセスを通じて認定看護師の能力アップと社会的認知度の向上ならびに各組織における認知症看護認定看護師の役割・存在意義の確立が達成されていくものと考える.
キーワード 認知症看護認定看護師,活動状況,課題
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論文名 認知症ケア学会認定認知症ケア専門士に期待されるものと今後の課題;認知症ケアの標準化を目指して
著者名 今井幸充
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,19(6):650-656,2008
抄録 2005年に認知症ケア専門士制度が発足し,現在では約9,000人の専門士が各地域で活躍している.この専門士制度は,認知症ケアの標準化を目指す日本認知症ケア学会の実践活動の一環であり,認知症ケアの質の向上と優秀な人材の育成につながることが期待されている.また,認知症ケアに携わる専門職の生涯学習制度として位置づけ,彼らのスキルアップとキャリアアップに役立ち,学習の動機づけになることを目的としている.
キーワード 認知症ケアの標準化,認知症ケア専門士,上級専門士,スキルアップ,キャリアアップ
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論文名 Dementia Care Mappingの臨床的有用性と今後の課題
著者名 水野 裕
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,19(6):657-663,2008
抄録 Dementia Care Mapping(DCM)の研修・教育における有用性とその課題について,検討した.DCMは,使用にあたって一定の研修会参加を義務づけており,認知症ケアの質のアセスメントだけではなく,教育的効果を目的としたツールということができる.研修プログラムには,パーソン・センタード・ケアの理念を効率よく学ぶだけではなく,ケアワーカーを肯定的に評価し,意欲の向上を図る内容も含まれ,バーンアウトの防止などに役立つと思われる.
キーワード Dementia Care Mapping,パーソン・センタード・ケア,バーンアウト,ストレスマネジメント,認知症ケア
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論文名 認知症ケアマネジメント・センター方式の臨床的有用性と今後の課題
著者名 大久保幸積,板澤 寛
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,19(6):664-673,2008
抄録 認知症ケアマネジメント・センター方式(センター方式)に関してはこれまでも数多くの報告がなされており,その臨床的有用性は実証されている.そこで,当法人においてもケアプランの見直しに際して,センター方式導入により利用者理解やケアの充実につながり,入居者のQOL向上に寄与できると判断し,既存のアセスメントツールを活用しながら,センター方式のシートを認知症の理解促進ツールとして導入したことによる有用性と課題を概説した.
キーワード 認知症,センター方式,アセスメント,課題分析標準項目,ケアプラン
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論文名 認知症ケアの過去,現在,未来
著者名 石原美智子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,19(6):674-679,2008
抄録 本稿は,社会福祉法人「新生会」の32年の歩みのなかで,とくに認知症ケアの取組みを中心に,過去から現在,そしてこれからの方向性を記したものである.過去を振り返るということは,単に懐古的なことを意味するのではなく,その当時かかわりをもっていた人々の素朴な認知症に対する対峙の仕方が,現在,専門性を追求することによってみえにくくなりがちな視点を呼び覚ます縁になればとの意味である.そして今後も尊厳を支えるケアを目指していくために必要なことはどのようなことかを模索している.
キーワード 実践論,オーストラリアの状況,認知症判定,地域とともに,尊厳
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