老年精神医学雑誌 Vol.19-3
論文名 介護(施設)と医療情報管理のIT化
著者名 雨宮洋子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,19(3):281-290,2008
抄録 介護施設における情報技術の活用について,認知症高齢者ナーシングケアシステム,利用者に関する情報の集約とデータベース化,通信システムを用いての遠隔ケア等,当法人の取組みを示しながら考察した.当法人は,認知症高齢者の生活をいかに支えるか,その道具のひとつとして情報技術の活用を検討し,開発・導入してきた.今後の展望として,生産年齢人口の減少も踏まえ,ロボットや機器の活用を提案した.
キーワード DBC(data based care),日常生活動作の障害,認知症高齢者ケアシステム,遠隔ケア
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論文名 自立した生活を支援・実現するロボット技術
著者名 小林 宏
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,19(3):291-299,2008
抄録 機械化,ロボット化が進み,とくに人間を支援するロボットに大きな期待が寄せられているが,実際に日常生活で人間の動作を支援することができるロボットは,やっと開発が始まったに過ぎない.単なるデモではなく,一般の人に対して実際に臨床試験を行っているのは筆者らのグループ以外にはないのが実情である.本稿では,筆者らが開発している上肢動作補助を目的としたマッスルスーツ,立てない人でも正しい姿勢で歩くことができるアクティブ歩行器について,その概要を紹介する.
キーワード マッスルスーツ,アクティブ歩行器,McKibben型人工筋肉,動作支援,自立支援
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論文名 まひ側に健側の動作方向を教示する上肢トレーニング支援スーツ
著者名 藤本弘道
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,19(3):300-305,2008
抄録 アクティブリンク株式会社では2002年から空気圧式のゴム人工筋を用いた,装着タイプのパワーアシスト機器の開発を進めている.同機器の応用先のひとつとして,NEDOの研究委託を受けて,脳卒中による片まひ患者のまひ側に健側の動作方向を教示する上肢トレーニング支援スーツの研究開発を行っている.現在,トレーニング支援スーツとグローブのプロトタイプの試作を終了し,今後は評価手法や実証試験の研究を進めていく予定である.
キーワード パワーアシスト,ゴム人工筋,トレーニング
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論文名 リハビリ支援器具としての温熱シートの有用性;温熱負荷による筋力増強
著者名 後藤勝正
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,19(3):306-314,2008
抄録 最近,過負荷の原則に基づかない,少ない負荷で大きな効果が得られる筋力トレーニングが提唱されている.温熱負荷トレーニングは,骨格筋を温めながら軽運動を行うというものである.温熱負荷の条件は,筋温38℃以上の状態が30分以上継続するというものである.骨格筋を効果的かつ効率的に温める方法として,電気的な制御を必要としない「温熱シート」が優れている.蒸気を利用したタイプの温熱シートは,安全性および加温・温熱性能から利用価値が高い.リハビリテーションや健康の維持増進,そして一流アスリートのトレーニングとして,温熱負荷トレーニングの実用化は近いであろう.
キーワード heat- and steam-generating sheet,skeletal muscle,hypertrophy,atrophy,regrowth
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論文名 Low techとHigh tech機器による認知症の支援
著者名 安田 清
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,19(3):315-321,2008
抄録 認知症の症状の中核は記憶障害である.記憶障害とは必要な情報を貯蔵できない,または必要時に脳内から検索できないことである.したがって,情報の速やかな記録や提供が認知症の対処法の要である.軽度のうちは専用の日記や身体装着用メモ帳を有機的に使う.自ら予定などが想起できなくなったら,ICレコーダーなどの機器から情報を自動的に提示する.さらに重度になったらビデオ回想法やテレビ電話上の会話を楽しむなどで不穏行動などを回避するなどの試みを紹介する.
キーワード 機器,認知症,IT,情報,工学
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論文名 高齢者生活を支える住環境・機器と情報支援
著者名 森 一彦,生田英輔
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,19(3):322-330,2008
抄録 高齢者の生活の質(QOL)を考えるうえで,住環境・機器による環境支援と,家族かヘルパーなどの人的支援との柔軟な連携がその正否を握っている.核家族化の進行した社会においてその連携がきわめて困難な状況下で,ITを活用した情報支援が有効な手段として注目されている.その具体例として,安否確認,緊急通報,健康チェックについて最新の動向と可能性を外観し,さらに将来解決しなければならない課題として,信頼性,柔軟な対応,個人情報管理を指摘した.
キーワード 住環境・機器,情報支援,安否確認,緊急通報,健康チェック
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