論文名 | MRIによるMCIから認知症への進行評価 |
著者名 | 畑澤 順 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,18(8):829-833,2007 |
抄録 | MRIによって,軽度認知障害(MCI)やアルツハイマー病(AD)に至る以前に脳の形態的変化,代謝の変化が明らかになってきた.MCIからADに移行する症例ではMCIの時期にすでに海馬体積が低下している.MRI装置の高磁場化,VBMに代表される新たな解析方法の開発により,MCI発症の予測も現実的になってきた.塩酸ドネペジルなどの薬物治療に対する反応性を予測できるようなMRI診断法の開発が待たれる.国際共同研究ADNIに代表される大規模多施設前向き共同研究の成果が待たれる. |
キーワード | MRI,アルツハイマー病,軽度認知障害,VBM,ADNI |
論文名 | PET/SPECTによるMCIから初期認知症への進行評価 |
著者名 | 加藤隆司,伊藤健吾 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,18(8):834-840,2007 |
抄録 | MCI(Mild Cognitive Impairment,軽度認知障害)は,正常と認知症との境界領域の認知機能の状態を表す概念である.MCIは,将来アルツハイマー病(AD)へ移行する群を高率に含む.移行群では,MCIの段階でAD的なパターンで脳血流/糖代謝が低下している.移行群と非移行群を分ける特徴的低下部位はinferior parietal cortexである.このような低下を検出するには,統計学的画像解析の手法が有用である.現在MCIを対象に,画像検査の有効性を検証する大規模臨床研究が日本,ヨーロッパ,アメリカ合衆国,オーストラリアで行われている. |
キーワード | MCI,軽度認知障害,アルツハイマー病,SPECT,PET |
論文名 | 血流機能画像による薬物療法の評価 |
著者名 | 羽生春夫,岩本俊彦 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,18(8):841-848,2007 |
抄録 | アルツハイマー病や軽度認知障害患者の薬物療法の効果判定や効果予測に,SPECT(single photon emission CT)やPET(positron emission tomography)による客観的な血流代謝情報が,有用な指標となることを文献的な報告を含めて述べた.補助的な画像情報を加えることによって,患者の病状変化をより正確に把握できる点で脳機能画像の臨床的有用性は高いといえる. |
キーワード | アルツハイマー病,軽度認知障害,薬物療法,SPECT,PET |
論文名 | 認知症におけるニコチン受容体のイメージング |
著者名 | 橋川一雄,大石直也,福山秀直 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,18(8):849-854,2007 |
抄録 | ニコチン神経系は記憶,行動統合や学習に関係し,剖検の研究ではアルツハイマー病をはじめ各種の認知症でのニコチン受容体結合能(nAChR)の低下が報告されていた.近年,SPECTトレーサである123I-5IAによって,アルツハイマー病,パーキンソン病やレビー小体型認知症におけるnAChR結合能の低下がin vivoにて示された.今後,認知症の診断,病態評価や治療効果判定への応用が期待されている. |
キーワード | ニコチン受容体,SPECT,認知症 |
論文名 | アミロイドイメージング |
著者名 | 岡村信行,谷内一彦 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,18(8):855-860,2007 |
抄録 | 老人斑,神経原線維変化の脳内蓄積は,アルツハイマー病を代表する脳病理変化である.このような病理像の存在を生前に証明する方法として,近年,positron emission tomography(PET)を用いて,老人斑の非侵襲的計測が可能となった.アミロイドイメージングと呼ばれる本検査法は,アルツハイマー病早期診断の精度を飛躍的に高めるばかりでなく,抗アミロイド療法の薬効評価系としての応用も期待される. |
キーワード | アルツハイマー病,老人斑,アミロイドβタンパク,positron emission tomography(PET),早期診断 |
論文名 | 認知症のNIRS(近赤外分光法)による評価 |
著者名 | 宮川晃一,新井平伊 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,18(8):861-867,2007 |
抄録 | NIRS(近赤外分光法)は,光学的手法を用い,非侵襲的に生体における大脳皮質の血管内酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)と脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)の濃度の変化を,0.1秒の時間分解能をもって計測することが可能な,脳の機能を研究,検査する新しい方法論である.近年,脳に関するさまざまな領域,疾患でNIRSを用いた研究が活発に行われており,認知症疾患への応用も可能となりつつある.NIRS装置の可搬性,簡便性,経済性などを勘案すると,認知症疾患に対するプライマリースクリーニング用の診断機材として有用である可能性が示唆されている. |
キーワード | NIRS(near-infrared spectroscopy,近赤外分光法),酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb),脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb),activation index(A-Index),認知症,アルツハイマー病 |
論文名 | 認知症の脳磁図による評価 |
著者名 | 鵜飼 聡,篠崎和弘 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,18(8):868-874,2007 |
抄録 | 脳磁図とその解析法について概説した後,MCIとADに絞って認知症評価の研究の現状と課題について述べた.脳磁図においても,脳波と同様に中心周波数の低下とθ帯域の増加が指摘されているが,その空間分解能の高さを生かして,それら律動性脳磁場活動の空間的,解剖学的な分布についても検討されている.今後,認知症の評価の指標や,MCIへの移行リスクの予測因子として,側頭−頭頂領域での低い周波数帯域の神経活動の増加(とくにθ帯域)に注目していく必要がある. |
キーワード | 脳磁図,認知症,軽度認知障害(MCI),アルツハイマー病(AD) |