論文名 | ピック病の位置づけ ― 前頭側頭型認知症との関連 ― |
著者名 | 田邉敬貴 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,18(6):585-590,2007 |
抄録 | 前頭側頭型認知症(FTD)と意味性認知症(SD)の概要にふれ,それぞれの早期診断のポイントならびに臨床病期分類を示し,ピック病を以下の流れで再考した.>1)ピック病者は悪者か?,2)SDはピック病と違うのか?,3)側頭葉優位型ピック病剖検例は進行例,4)SDとは診断されない可能性,5)ヒトがヒトたる所以を物語る病気,ピック病. |
キーワード | ピック病,早期診断,病期分類,髄鞘発生,系統発生 |
論文名 | ピック病の症状・経過について |
著者名 | 品川俊一郎,池田 学 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,18(6):591-597,2007 |
抄録 | ピック病は脱抑制,常同行動や自発性の低下などの特徴的な社会行動の障害や人格変化を呈する疾患群であり,潜行性に発症して比較的進行が早いことが知られている.しかしながら現在まで多数例での長期の自然経過の報告はほとんどなく,病期分類に関しても前頭葉優位型と側頭葉優位型を区別して行ったものはない.ピック病の臨床病理相関を明らかにし,おのおのの亜型での症状と経過を明らかにすることが求められる. |
キーワード | Pick,s disease,frontotemporal dementia,behaviour,progress,staging |
論文名 | ピック病の神経病理 |
著者名 | 池田研二 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,18(6):598-604,2007 |
抄録 | ピック病は前頭・側頭葉の限局性で高度の脳萎縮を示し,脳萎縮部位にはしばしば左右差や優位萎縮領域を示す疾患であり,特徴的なピック球を伴う症例と伴わない症例があるとされてきた(古典的ピック病).タンパク化学的研究成果により疾患概念が整理された.ピック球を伴う症例はタウオパチーに属する一疾患単位(ピック小体病)である.ピック小体病とほぼ同数存在するピック球を伴わない症例はほとんどがユビキチン封入体を伴い運動ニューロン疾患の側面がある.同じ封入体を伴うALS-Dと一疾患単位を構成していると考えられ,従来のユビキチン封入体を伴うピック病はそのサブタイプと考えられる.ピック病とされ,いかなる封入体も出現しないまれな症例はdementia lacking distinctive histologyと診断される. |
キーワード | ピック病,ピック球,ユビキチン封入体,ALS-D,運動ニューロン疾患 |
論文名 | ピック病の分子生物学 |
著者名 | 新井哲明,長谷川成人 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,18(6):605-615,2007 |
抄録 | ピック病は,前頭側頭葉の限局性萎縮を呈する認知症疾患として当初位置づけられたが,その後3リピートタウの蓄積物であるピック球が出現する疾患のみをピック病と呼び,ユビキチン陽性タウ陰性封入体を有する群(frontotemporal lobar degeneration with ubiquitin-positive inclusions ; FTLD-U)と区別するようになった.最近後者の封入体の主要構成タンパクとしてTAR DNA-binding protein of 43 kDa(TDP-43)が同定された.TDP-43の蓄積は,筋萎縮性側索硬化症やグアムのパーキンソニズム・認知症複合の脳などにも同定され,これらの疾患はtauopathy,synucleinopathyに続く新たなタンパク質蓄積症の一群を形成している. |
キーワード | タウ,TDP-43,プログラニュリン,前頭側頭葉変性症,筋萎縮性側索硬化症 |
論文名 | 前頭側頭型認知症の治療 ― グループホームでの経験から ― |
著者名 | 藤沢嘉勝,横田 修 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,18(6):616-625,2007 |
抄録 | 前頭側頭型認知症の非薬物的介入として家庭的環境での生活の重視やperson centered careの有用性を紹介した.行動障害に対して用いられる向精神薬が患者の生活の質を改善するかどうかは不明であることと,介護上問題となる行動の出現は患者がニーズを満たされていないことに第一の原因があるとの理解に基づいて,治療における薬物療法と非薬物療法のバランスを最適化することが精神科医の課題であることを指摘した. |
キーワード | 環境,グループホーム,ケア,非薬物療法,frontotemporal dementia |
論文名 | ピック病の外来診療 |
著者名 | 池尻義隆 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,18(6):626-631,2007 |
抄録 | |
キーワード | ピック病,前方型認知症,前頭側頭型認知症,意味性認知症,セロトニン再取り込み阻害薬 |
論文名 | 前頭側頭型認知症の疫学 |
著者名 | 高橋 晶,朝田 隆 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,18(6):632-637,2007 |
抄録 | 認知症疾患の疫学研究において,アルツハイマー病や脳血管性認知症に比べてピック病など前頭側頭葉変性症(FTLD)のそれは少なかった.しかし初老期に発病しやすいFTLDは,初老期認知症としてはADの1/3程度の頻度ともいわれる.本稿では,従来の疫学調査の結果を比較検討した.わが国のFTLDの有病率は欧米のそれに比べて低いと思われるが,発症年齢のピークは50歳代の後半と推定され,これは欧米と同じと思われた. |
キーワード | ピック病,前頭側頭型認知症,前頭側頭葉変性症,有病率,初老期認知症 |