論文名 | 高齢単身者,高齢核家族が安心して生活するために |
著者名 | 斎藤正彦 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,18(4):363-368,2007 |
抄録 | わが国の高齢人口は全人口の20%を超え,その過半数が単身または核家族世帯で生活している.こうした高齢者は,現在,顕在化しているリスク以上に,災害や犯罪,健康の喪失といった変化に対する脆弱性に由来する,大きな潜在リスクを抱えて生活している.住環境整備,介護保険,地域福祉権利擁護事業,成年後見制度,高齢者虐待防止法等の施策が次々打ち出されているが,実効を上げるためには,これらを有機的に結びつけるシステムが不可欠である. |
キーワード | 高齢社会,成年後見制度,地域福祉権利擁護事業,高齢者虐待防止法 |
論文名 | 山口における高齢者自立支援,権利擁護の実践 |
著者名 | 田中耕太郎 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,18(4):369-374,2007 |
抄録 | 地域福祉権利擁護事業は,認知症の高齢者など判断能力が不十分な人たちが地域で自立して質の高い生活を継続するための有力な支援システムである.しかし,その制度設計は,意外に利用しにくい部分があり,全国での利用状況に大きな格差が生ずる要因のひとつともなっている.そこで,契約締結審査会の場を中心に事例の積み重ねのなかで工夫を重ねてきた山口県の運用実績の評価を通じ,この事業がもつ可能性と今後の改善のための提言を行う. |
キーワード | 地域福祉権利擁護事業,契約締結審査会,判断能力,山口県,社会福祉協議会 |
論文名 | 地域に根ざした成年後見・高齢者の権利擁護:横浜生活あんしんセンター」の活動 |
著者名 | 知久達哉 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,18(4):375-381,2007 |
抄録 | 横浜生活あんしんセンターでは,高齢者・障害者の権利擁護機関として,地域福祉権利擁護事業と成年後見制度に取り組んでいる.両者には明確な差違があるため,その効果をよく認識したうえで,適切に利用していくことが重要である.また,後見人の引き受け手がいないため,センターが受任せざるを得ない困難ケースも多くでてきており,関係機関と連携しながら,「成年後見サポートネット」を活用し,山積する課題の解決を図っていきたい. |
キーワード | 地域福祉権利擁護事業,法人後見,困難ケースへの対応,関係者との連携,成年後見サポートネット |
論文名 | 大阪における高齢者の権利擁護の実践と課題 |
著者名 | 川並利治,大國美智子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,18(4):382-387,2007 |
抄録 | 大阪後見支援センターの権利擁護相談は,判断能力の不十分な人を対象にした法的・専門的相談体制による経済的虐待や財産侵害への対応が特徴である.悪質な訪問販売等の被害や借金については,弁護士等,専門家の支援を受け,法律に基づいた対応を行い,被害回復と予防方策を検討している.権利侵害の予防には地域福祉権利擁護事業と成年後見制度の活用が有効であるが,マンパワーの不足など制度上に内在する課題は多い. |
キーワード | 虐待,悪質商法,訪問販売,市町村長申立て,第三者後見人 |
論文名 | 東京都の社会貢献型後見人養成事業について |
著者名 | 武笠安史 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,18(4):388-395,2007 |
抄録 | ・制度利用を促進するため,「成年後見活用あんしん生活創造事業」を創設.・都内の全区市で成年後見制度推進機関を設置することが目標.・検討委員会を設置し,自治体として全国で初めて後見人等養成事業を実施.・東京都が基礎講習修了者を区市町村に紹介,推進機関で実習活動以降の支援.・実習活動の充実,適格性の判断,バックアップ体制の整備が課題. |
キーワード | 成年後見活用あんしん生活創造事業,成年後見制度推進機関,後見人等養成事業,社会貢献型後見人,基礎講習と実習活動 |
論文名 | 高齢者自立支援としての後見実践 |
著者名 | 池田恵利子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,18(4):396-401,2007 |
抄録 | 認知症高齢者や知的障害者等ができる限り地域社会でその人らしい生活を維持し,尊厳を守られて生活していくためには,成年後見人の身上監護事項が重要になる.社会福祉士という福祉関係者が後見制度に取り組み実践することによりみえてきた身上監護と,それにかかわる人材の育成とバックアップ機関の重要性について述べる. |
キーワード | 本人の最善の利益,身上監護,市民後見人(社会貢献型後見人),アドボケート(権利擁護) |
論文名 | 高齢者虐待防止法の実践:その課題と可能性 |
著者名 | 峯岸志津子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,18(4):402-409,2007 |
抄録 | 高齢者虐待防止法が施行されてほぼ1年,法のアナウンスメント効果もあり,高齢者虐待に関する相談件数は格段に増えたものの,関係機関の地道な努力や連携により,現場では心配されたほどの混乱は起きていない.高齢者には介護保険のサービスを使えることから,児童虐待や配偶者間暴力に比べて介入がしやすいという側面もある.しかしながら,一方では個人情報保護と高齢者虐待の支援が拮抗したときの明確な指針がないこと,医療機関との連携が不足していること,法が想定している養護者の支援と現実との間にズレがあること等々,今後の課題は山積している. |
キーワード | 高齢者虐待防止法,個人情報保護審議会,自立できない息子たち,ケアマネジャー |