論文名	環境支援の基本的考え方
著者名	下垣　光
雑誌名 巻/号/頁/年	老年精神医学雑誌，18(2)：133-138，2007
抄録	認知症高齢者の施設ケアにおいて，施設特有の環境特性が，認知症高齢者の行動へ大きな影響を与える可能性がある．環境特性は単に物理的環境だけではなく，ケアや対応，高齢者同士の交流，また施設の運営方針などの多様な特性を含むものであり，認知症高齢者の専門的な施設環境指針であるProfessional Environmental Assessment Protocol（PEAP）は8つの環境次元があることを示している．これらの多様な次元により認知症高齢者への効果的な住環境が構成されている．
キーワード	認知症，PEAP，住環境，personalization，中核症状と周辺症状

論文名	環境の課題のとらえ方，環境づくりの計画とその評価
著者名	古賀誉章
雑誌名 巻/号/頁/年	老年精神医学雑誌，18(2)：139-150，2007
抄録	自立生活が困難な高齢者にとって，居住環境の整備を支援することは，QOLの向上に役立つ．このように居住環境を整備する行為を「環境づくり」という．環境づくりは単に空間をしつらえることだけでなく，それに応じたケアや運営の変革も重要である．本稿では，高齢者施設において職員が主体の環境づくりを試みた経験から，筆者らが提案した6ステップからなるプログラムとそのための道具について解説し，効果的な環境づくりの方法論について述べる．
キーワード	施設環境づくり，PEAP，キャプション評価法，ベネフィット・ポートフォリオ

論文名	認知症グループホームのケア環境
著者名	足立　啓
雑誌名 巻/号/頁/年	老年精神医学雑誌，18(2)：151-158，2007
抄録	医学，看護学だけでなく認知症の人びとのQOL（生活の質）を重視した関連分野の研究も幅広く展開されている．住環境やケア環境もその重要性を認識されつつある分野である．本稿では，最初に認知症ケアにおける小規模ケア環境の有効性に関する研究知見を整理し，次いで認知症グループホームの「ホール型」と「非ホール型」事例比較をとおして，環境行動学の視点から高齢者の行動，職員の見守りなど，ケア環境のあり方について考察する．
キーワード	認知症，グループホーム，ケア環境，環境行動，環境評価

論文名	高齢者施設での環境づくり
著者名	鈴木みな子
雑誌名 巻/号/頁/年	老年精神医学雑誌，18(2)：159-168，2007
抄録	高齢者施設職員の施設環境づくりへの関心は高まってきている．その背景には，認知症利用者の増加やユニットケアの推進，職員のケア観の変化などがあげられよう．デイサービス調査からは，ケア効果と環境支援との間に相関関係があることが明らかになった．また，特別養護老人ホームにおいては，職員による環境づくりの取組みが進められ，その過程では環境づくりの支援ツールが開発されている．
キーワード	特別養護老人ホーム，デイサービス，ケア効果，環境づくり，認知症ケア

論文名	認知症高齢者の類型化とそれに対応した在宅環境配慮
著者名	児玉桂子，大島千帆
雑誌名 巻/号/頁/年	老年精神医学雑誌，18(2)：169-177，2007
抄録	認知症高齢者と家族の在宅生活を支援する在宅環境配慮の普及を目指して，認知症高齢者の状態像を「歩行・見当識高群」「歩行・見当識中群」「歩行高・見当識低群」「歩行・見当識低群」の4類型に分類をして，各群に効果がある在宅配慮の内容を介護支援専門員への調査結果等から明らかにした．在宅環境配慮の効果は，動作のしやすさや自立支援，安全確保や事故防止，失禁や徘徊への対応のみならず，生活の落ち着きや活性化，安心とわかりやすさなど，認知症高齢者と家族に幅広い効果をもたらすことを示した．
キーワード	在宅環境配慮，介護支援専門員への調査，認知症高齢者の状態像の類型化，在宅環境配慮の効果

論文名
論文名	デンマークの地域居住に学ぶもの:認知症ケアと居住の側面から
著者名	松岡洋子
雑誌名 巻/号/頁/年	老年精神医学雑誌，18(2)：178-185，2007
抄録	デンマークでは，1988年以降介護施設の新規建設を禁止した．その背景には「高齢者は介護の対象ではなく生活主体である」という人間観と自立支援の理念が貫かれており，認知症高齢者についても「住み慣れた地域で最期まで」という地域居住が実践されている．介護型住宅，グループホーム，在宅での暮らしを地域居住という視点でとらえたとき，認知症高齢者にとっての自立支援を考えること，地域というシステムのなかで環境をとらえることがデンマークからの示唆としてまとめられた．
キーワード	認知症高齢者，地域居住，住環境，デンマーク，自立支援