老年精神医学雑誌 Vol.18-12
論文名 精神科臨床におけるBPSDの今後の課題
著者名 池田 学
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,18(12):1289-1291,2007
抄録 Behavioral and psychological symptoms of dementia(BPSD)「認知症の行動および心理症状」は,患者本人を苦しめるだけでなく介護者の介護負担を増大させ,両者のQOLを低下させ,入院や入所の時期を早める直接的な原因となる.BPSDに対する非薬物療法にはエビデンスが乏しく,薬物療法には制約があるなかで,BPSDの治療における精神科医に対する期待は大きく,さまざまな治療場面における対応が求められている.
キーワード BPSD,認知症,精神症状,行動障害
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論文名 在宅(訪問)診療におけるBPSDへの対応と課題
著者名 木之下 徹,津谷喜一郎
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,18(12):1292-1299,2007
抄録 地域における認知症高齢者のBPSDの実態について,事例を通じ,生活情報の重要性について提案しつつ,在宅医療サービスの立ち位置,BPSDの増悪時の留意点,地域におけるBPSDに対する薬物モニタリング体制のなかでの家族介護者やケアスタッフとの連携の課題について考察をしたい.また地域のBPSDについて「ありふれた病態」に加えて「見捨てられた病態」という視点も導入しながらさらに考察を重ねたい.
キーワード 在宅医療,地域,BPSD,見捨てられた病態,生活
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論文名 クリニックにおけるBPSDへの対応と課題
著者名 原田和佳
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,18(12):1300-1308,2007
抄録 認知症患者が住み慣れた家庭や地域での生活を維持していくうえで,かかりつけ医に寄せられる期待は大きい.とりわけ重要な課題は患者のみならず介護者を混乱させるBPSDへの対応である.本稿ではBPSDを伴う認知症患者に対して,クリニックの医師はなにを求められ,なにができるのかを中心にまとめてみたい.
キーワード 認知症,かかりつけ医,BPSD,薬物療法,非薬物療法,地域連携
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論文名 グループホームにおけるBPSDへの対応と課題
著者名 藤沢嘉勝,横田 修
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,18(12):1309-1317,2007
抄録 グループホームにおいて介護上問題となる認知症の精神および行動の症状(behavioral and psychological symptoms of dementia ; BPSD)への対応と課題について述べた.疾患・症状に応じたケアを提供することと,パーソンセンタードケアをはじめとする非薬物的介入を強化し,薬物療法とのバランスを最適化することがBPSD治療において重要であることを述べ,そのうえで精神科医の果たすべき役割を指摘した.
キーワード グループホーム,行動障害,認知症,非薬物療法,パーソンセンタードケア
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論文名 介護老人保健施設におけるBPSDへの対応と課題
著者名 三根浩一郎
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,18(12):1318-1324,2007
抄録 老健施設におけるBPSDに対する治療は生活環境の整理,個別対応の工夫や集団訓練などの主として非薬物療法が優先されてきた.しかし,薬物療法が有効なBPSDが存在し,ある種の精神症状や睡眠覚醒のリズムの障害に対しては薬物療法の適応となる.だが,非定型抗精神病薬の高い薬価は医療行為が包括化されている老健施設では薬物療法を妨げる原因になっている.全国老人保健施設協会では適切な治療を行うために医療行為の報酬上の評価を要望している.
キーワード 介護老人保健施設,BPSD,薬物療法,非薬物療法
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論文名 総合病院におけるBPSDへの対応と課題
著者名 内海久美子,白坂知彦
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,18(12):1325-1332,2007
抄録 身体疾患のため高齢者の入院が多い総合病院では,しばしばBPSDやせん妄により身体疾患の治療に支障をきたすため,速やかなる対処が求められることが多い.そのため抗精神病薬を投与せざるを得ない状況がある.平成18年度の新患のうち薬剤投与がなされたBPSDの患者をリエゾン群と外来群の2群およびせん妄群に分けて,各症状の発生頻度と抗精神病薬の有効性について検討した.その結果,とくにリエゾン群のBPSDに対しては抗精神病薬の有効度は44%と低く,薬物療法以外の対処方法が求められる.そこで当院では,多職種から結成されたリエゾンチームによる往診体制システムを稼動させた.
キーワード BPSD,総合病院,リエゾンチーム,薬物療法
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論文名 精神科病院におけるBPSDへの対応と課題
著者名 松本光央,谷向 知,塩田一雄
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,18(12):1333-1339,2007
抄録 認知症に伴う精神症状は介護者に苦痛をもたらし,在宅介護を破綻させる大きな一因であり,薬物・非薬物療法いずれにおいても医療的介入は不可欠である.BPSDは医療的な介入,あるいは認知症が重度化するにつれて減少するものであり,介護困難なBPSDが消退後の生活方針を常に念頭において治療に当たることが大切である.精神科病院には認知症治療病棟や重度認知症デイケアなど認知症に特化した施設が併設されていることが少なくない.介護や対応に疲弊しての「最後の砦」としてではなく,長期に在宅介護を行うために大きな役割を担っていることが周知されることを期待する.
キーワード 認知症,BPSD,精神科病院,認知症治療病棟,重度認知症デイケア,介護
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