老年精神医学雑誌 Vol.18-11
論文名 精神科診療所・重度認知症デイケアにおける認知症高齢者の救急対応
著者名 山崎英樹,大畑美齢,吾妻淳一,竪山貴志
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,18(11):1163-1169,2007
抄録 認知症高齢者の救急対応を,BPSD,身体合併症,終末期の3つの場合に分け,精神科診療所の立場からその経験を述べた.また重度認知症デイケアの意義を,理念,戦略,戦術という文脈のなかで考察した.“ぼけても,安心して暮らせる社会を”“「地域で暮らす」を当たり前に”という理念の下に,制度上,それを超えるモデルが普及するまでは,重度認知症デイケアを十分に活用することが望まれる.
キーワード 認知症,デイケア,BPSD,身体合併症,終末期
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論文名 認知症疾患センターと救急医療
著者名 浅野弘毅,粟田主一,近藤 等
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,18(11):1170-1175,2007
抄録 認知症疾患センターにおける行動・心理症状(BPSD)への対応の実態および精神科救急医療システム整備事業への参加状況,救急告示病院における認知症の身体疾患への対応の実態について調査した.BPSDや身体疾患の重篤でないケースは認知症疾患センターを経ずに介護保険制度を利用して介護サービスを利用していた.救急医療システム整備事業への参加は必ずしも多くはなかった.認知症患者について,救急告示病院と認知症疾患センターとの連携が不十分な現状が明らかになった.
キーワード 認知症疾患センター,行動・心理症状,身体合併症,救急告示病院,介護保険
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論文名 認知症専門病棟における精神科救急医療と身体合併症医療
著者名 松原三郎
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,18(11):1176-1183,2007
抄録 老人性認知症治療病棟は全国で約3万床あり,年間約3.2万人が当該病棟に入院しており,精神科病床全体では約16%(5.2万人)と推定されている.しかし,実際には精神症状・行動障害のために,早急な入院医療が必要であるにもかかわらず,入院先がないという状況が慢性的に続いており,介護する家族は大きな負担を強いられている.他方,認知症治療病棟入院中の患者の74%において,治療が必要な身体合併症を有しており,このうち,17%は専門医療機関での治療が必要である.合併症は高率でかつ重度である.このような状況にもかかわらず,老人性認知症治療病棟には救急を受け入れる空床がなく,さらに,対応するための人員基準は整っていない.身体合併症治療では,診療報酬が包括性であるために,諸検査や治療が満足に行える状況にもない.このような状況は認知症高齢者の人権にかかわる重大な問題である.
キーワード 老人性認知症治療病棟,精神科救急医療,身体合併症,老人性認知症疾患センター
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論文名 一宮市立市民病院今伊勢分院における認知症高齢者の精神科救急医療と身体合併症医療
著者名 鵜飼克行
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,18(11):1184-1189,2007
抄録 一宮市立市民病院今伊勢分院は,一宮市立市民病院でのコンサルテーション・リエゾンのほか,激しい精神症状や身体合併症をもつ認知症患者を積極的に受け入れ治療してきた.総合病院としての,あるいは精神科専門病院としての両方の特徴をあわせもつ当院での認知症高齢者の精神科救急医療と身体合併症医療の現状を紹介し,その課題について述べた.さらに将来において,総合病院が果たすべき役割やそれを担保する構造や政策の重要性について言及した.
キーワード コンサルテーション・リエゾン,medical psychiatry(メディカル精神医療),老人性認知症治療病棟,認知症,身体合併症
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論文名 東京都立松沢病院における認知症高齢者の身体合併症医療
著者名 分島 徹
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,18(11):1190-1196,2007
抄録 "・松沢病院の合併症の歩み,取組みの経緯を述べた.
・東京都の精神科合併症医療事業の流れを精神科救急医療との関連で概観した.
・高齢者認知症者に対する医療対策のうち精神科専門病棟の整備の状況,医療の窓口とし高齢者精神医療相談班の役割,専門病棟への入院の状況について東京都の仕組みを紹介した.
・松沢病院における認知症高齢者の精神医療の取扱い実績や合併症対策の取組みにふれ,合併症医療を行う際の医療政策上の問題点,合併症医療に従事する医師確保の困難さに言及した."
キーワード senile dementia,physical complication,emergency medical service,psychiatric emergency
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論文名 精神科救急システムのなかでの認知症高齢者の救急医療
著者名 澁谷孝之
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,18(11):1197-1203,2007
抄録 精神科救急における認知症高齢者の患者数は年々増加している.従来,救急入院に至る認知症高齢者の精神症状は,幻覚妄想やせん妄が主であった.しかし今後は,拒絶や不穏のため,家庭や施設では対処困難となったケースの入院要請が急増すると予想される.このようなケースに対し,短期間の危機介入的入院を行うことは精神科病院の責務であるが,このような入院を円滑に行う前提として,精神症状改善後は再び家庭や施設に戻るというコンセンサスが不可欠である.
キーワード 認知症高齢者,精神科救急システム,BPSD,危機介入的入院,引き取り拒否
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論文名 救命救急センターにおける認知症高齢者の救急医療
著者名 久保田洋介,亀山元信,村田祐二,庄子 賢,野上慶彦,鈴木淳子,清水健司,山下元康,福島 摂,飯塚邦夫,粟田主一
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,18(11):1204-1209,2007
抄録 認知症高齢者に対する一般救急医療の現状と課題を明らかにするために,一総合病院の救命救急センターを受診する認知症高齢者の実態を調査した.わが国の認知症高齢者の有症率に比較して,救命救急センターを受診する高齢者中の認知症の割合は高い.認知症群では身体疾患の重症例が多く,一方,非重症例では,外来滞在時間が長く,社会的入院が多い.一般救急医療の場では,認知症高齢者に対する精神保健医療福祉のニーズが高まっているが,これに応需するための資源は著しく不足している.
キーワード 救命救急センター,認知症高齢者,外来滞在時間,社会的入院,精神保健医療福祉
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論文名 認知症高齢者の救急医療と身体合併症医療 ―― 新たな政策提言に向けて ――
著者名 粟田主一,渡 路子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,18(11):1210-1214,2007
抄録 1)精神科救急システム,一般救急システム,保健・福祉・介護システムと強固な連携体制を確立し,2)身体科医・精神科医・精神保健福祉士・保健師・看護師・臨床心理技術者等が連携して身体的・精神的・社会的な包括評価と緊急介入を効率的に行い,3)必要に応じて,BPSDと身体疾患が併存する認知症高齢者の入院に緊急に応需できる体制を確保するために,「認知症疾患医療センター事業」を提言したい.
キーワード 認知症疾患医療センター,精神科救急システム,一般救急システム,保健・福祉・介護システム,身体合併症医療
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