論文名 | アルツハイマー型痴呆のリスクファクター |
著者名 | 朝田 隆 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,16(4):399-404,2005 |
抄録 | アルツハイマー病の危険因子(RF)は3ランクに分けて考えるのが適切と思われる.まず加齢,遺伝子の突然変異といった予防介入不可能なRFである.次に本特集の他稿で論じられている頭部外傷など医療次元のRFがある.さらに個人の努力次第で多少とも改善できる可能性もあるライフスタイル関連のRFがある.とくに後二者のRFに注目して,その効力と想定される発症へのかかわりのメカニズムに言及した. |
キーワード | アルツハイマー病,危険因子,アミロイド仮説,血管仮説,認知予備能仮説 |
論文名 | アルツハイマー型痴呆と頭部外傷 |
著者名 | 池田修一 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,16(4):405-410,2005 |
抄録 | |
キーワード |
論文名 | アルツハイマー型痴呆と高血圧 |
著者名 | 八尾博史 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,16(4):411-414,2005 |
抄録 | (1)大規模二重盲検試験では,降圧療法によりアルツハイマー型痴呆が著明に減少するという成績と脳卒中再発に伴う痴呆発症が抑制されるという報告がある. (2)高血圧は併存病変としての脳梗塞(症候性/無症候性)を増加させ,脳梗塞が合併することにより潜在性のアルツハイマー病が臨床的に顕在化(発症)することが多いと考えられる. (3)アルツハイマー型痴呆においても血管因子の評価,高血圧の治療は非常に重要である. |
キーワード | アルツハイマー病,痴呆,高血圧,脳血管障害,血管性痴呆 |
論文名 | アルツハイマー型痴呆と高脂血症 |
著者名 | 山崎恒夫 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,16(4):415-419,2005 |
抄録 | |
キーワード |
論文名 | アルツハイマー型痴呆と糖尿病 |
著者名 | 羽生春夫 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,16(4):420-426,2005 |
抄録 | 大規模疫学研究から,糖尿病患者はアルツハイマー型痴呆(AD)を発症しやすく,発症リスクはおよそ2倍前後と推定される.糖尿病患者では,記憶を含む認知機能障害を呈しやすく,画像で海馬領域の萎縮がみられやすい.病理学的にもAD病変と膵島病変との関連性が示唆されている.高インスリン血症やインスリン抵抗性などの糖代謝異常がAD病変を直接的に促進するという研究報告が多い.糖尿病はAD発症の危険因子としてだけではなく,両者には共通の発症メカニズムが存在する. |
キーワード | アルツハイマー型痴呆,糖尿病,認知機能,インスリン抵抗性,高インスリン血症 |
論文名 | アルツハイマー型痴呆と栄養 |
著者名 | 植木 彰 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,16(4):427-431,2005 |
抄録 | 孤発性アルツハイマー病(AD)の発症と食事栄養との関連がしだいに明らかになってきている.栄養のなかでは,総エネルギーと総脂質の摂取過剰が危険因子であり,野菜・果物と魚の摂取が防御因子になっている.総エネルギーと総脂質とくに飽和脂肪酸の摂取過剰はフリーラジカルの産生を促し,老化の過程を促進する.野菜・果物はフリーラジカル産生を抑える抗酸化物や,高ホモシステイン血症を抑える葉酸やビタミンB群を多く含んでいる.魚油に含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸(PUFA)には抗酸化作用,抗炎症作用,抗血栓作用,脂質改善作用など広範な作用があり,さらに最近ではアミロイドbタンパク蓄積の抑制効果も見いだされている.栄養に関しては介入研究で証明することは困難であるが,これまで見いだされている知見は少なくともADの一次予防には有用と考えられる. |
キーワード | アルツハイマー病,食事因子,総エネルギー,脂質,魚油,抗酸化物,インスリン抵抗性 |
論文名 | アルツハイマー型痴呆と歯牙喪失 |
著者名 | 長谷川雅哉 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,16(4):432-438,2005 |
抄録 | 近年,わが国では急速に高齢社会を迎え,痴呆性疾患の増加が重要な社会問題となっている.この認知症(痴呆)の発症原因に関する研究のなかに,口腔機能と認知症発症に関する研究が行われている.食べるという行為のなかに,咀嚼がある.俗に「よく噛めば頭がよくなる」などといわれているが,咀嚼が認知症の発症あるいは予防に関係するのであろうか.歯牙喪失が学習・記憶や情動にどのような影響を及ぼすのかについて,疫学的調査や基礎的研究の結果を示しながら解説する. |
キーワード | アルツハイマー病,歯牙喪失,咀嚼,学習・記憶,情動,アセチルコリン作動性神経系 |
論文名 | アルツハイマー型痴呆とうつ病 |
著者名 | 加田博秀,津村麻紀,笠原洋勇 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,16(4):439-442,2005 |
抄録 | 痴呆におけるうつ病併発のリスク,そして認知的欠陥が生じるまえにあるいは認知的な前駆症状と並行してうつが存在していたことが,将来アルツハイマー型痴呆(AD)として進展する可能性にどのような影響を与えるのかについてはいまだ議論の余地が残されてはいるが,リスクファクターとしてのうつ病に焦点をあてて痴呆との関連を明らかにしている研究のいくつかを展望した. |
キーワード | アルツハイマー型痴呆(AD),うつ病,MCI,リスクファクター |
論文名 | アルツハイマー型痴呆と睡眠 |
著者名 | 松本直起,北端裕司,郭 哲次,篠崎和弘 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,16(4):443-447,2005 |
抄録 | ライフスタイルに関連したさまざまな要因がアルツハイマー型痴呆(DAT)のリスクファクターとなるかどうかを検討したいくつかの代表的研究においても,睡眠の関与はいまだ明確には指摘されておらず,これに着目した研究もきわめて乏しいのが現状である.本稿ではまず,DATにおける睡眠構築の変化について短くまとめ,次いで昼寝が認知機能に与える影響や睡眠時無呼吸症候群と痴呆の関連など,リスクファクターとしての睡眠に注目した最近の研究をいくつか紹介した. |
キーワード | アルツハイマー型痴呆,睡眠,予防,リスクファクター,ライフスタイル |
論文名 | アルツハイマー型痴呆とアルコール・喫煙 |
著者名 | 松下幸生,樋口 進 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,16(4):448-454,2005 |
抄録 | 大量の飲酒が認知障害と関連することは知られているが,アルコールそのものがアルツハイマー病の危険因子になることは疫学調査では証明されていない.むしろ最近のコホート調査では少量ないし中等量の飲酒は認知障害のリスクをさげるとの報告もある.喫煙はかつてアルツハイマー病のリスクをさげるとされていたが,最近のコホート調査ではむしろ発症を促進するという結果が多い.しかし,飲酒,喫煙のいずれもリスクファクターとして確立するにはさらに疫学的検討が必要である. |
キーワード | アルツハイマー病,飲酒,喫煙,疫学調査,リスクファクター |
論文名 | アルツハイマー型痴呆と運動 |
著者名 | 加藤守匡,坂巻裕史,朝田 隆,征矢英昭 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,16(4):455-460,2005 |
抄録 | 近年,運動が認知機能改善に貢献することを示唆する報告が増えてきている.運動がアルツハイマー型痴呆(AD)に及ぼす影響はいまだ不明であるが,AD発症には遺伝的な問題も含め個人の加齢プロセスや生活習慣の変容(ストレス増大,運動不足,栄養過多など)も関与することから,運動がAD予防に何らかの役割を果たすと推察される.本稿では,文献的考察によりAD予防の可能性について概説し,次いでAD患者への運動プログラム実施状況をまとめ,最後に茨城県利根町におけるAD予防を目指した運動介入の自験例について紹介する. |
キーワード | アルツハイマー型痴呆,身体活動,有酸素運動,予防・介護 |
論文名 | アルツハイマー型痴呆と教育 |
著者名 | 品川俊一郎,繁田雅弘 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,16(4):461-465,2005 |
抄録 | 疫学調査を中心として,アルツハイマー型痴呆と教育についての報告は数多い.教育水準が低いとADの発症率や有病率が高くなるという報告が多い一方,関連に懐疑的なものもある.このような不一致の背景には,認知機能検査の得点が教育水準の影響を受けるといったスクリーニングの問題や,教育水準はその後の職業・社会経済状況に関連するといった交絡因子の問題が存在する.教育は大脳の予備能を高め,臨床的な痴呆の発現を遅らせるという考えが有力ではあるが,さまざまな要因との関連を総合的に考慮する必要がある. |
キーワード | アルツハイマー型痴呆,リスクファクター,教育,スクリーニング,大脳予備能 |
論文名 | アルツハイマー型痴呆とソーシャルネットワーク |
著者名 | 矢冨直美 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,16(4):466-469,2005 |
抄録 | 本稿では,婚姻状況やソーシャルネットワークの量および質がアルツハイマー型痴呆(AD)の発症に関係していることを示す研究について述べた.また,ソーシャルネットワークがADの発症のリスクファクターとして関与しているメカニズムとして,ソーシャルネットワークが豊かであると認知機能を使うことが増し,それによって起こる脳の機能変化がADの病理的な影響を少なくしているメカニズム等が考えられることを論じた. |
キーワード | ソーシャルネットワーク,婚姻状況,アルツハイマー型痴呆,認知機能,ストレス |