論文名 | 老年期神経症の臨床像の変化と長期予後 |
著者名 | 守田嘉男 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,15(9):1011-1014,2004 |
抄録 | 精神障害の臨床像が発症年代で較差を示すことは心理的要因の臨床症状への影響が著しい神経症性障害において自明のこととされがちである.しかしこれについての疫学的縦断研究は障害の予後がさまざまであり困難を伴う.当然のことながら,長期予後の結果は治療の質にかかわることから長期間治療できた結果をまとめるとなると対象例は限定される.神経症性障害の若年発症例が老年期までにどのような症状変遷を示すのか,また限定された老年の間の長期予後はどのようになるのかは重要な課題であるため,自験例の成績について考察を試みた. |
キーワード | 高齢者神経症性障害,臨床像の変化,年代間の較差,症状変遷と長期予後,治療の実践 |
論文名 | 老年期うつ病・双極性障害の臨床像の変化,治療,長期予後 |
著者名 | 倉田健一,堀口 淳 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,15(9):1015-1020,2004 |
抄録 | 老年期におけるうつ病・双極性障害は,青・壮年期における病態と本質的には同じであると考えられるが,加齢により臨床像は修飾を受け,また身体合併症を伴って遷延化・難治化するケースも多く認められる.薬物治療においてはSSRIやSNRIを用いながら副作用の軽減につとめ,また各種の精神療法を有効に使うことが望ましい.予後については,短期的には寛解率は悪くないが,長期的には遷延化する比率が高くなり,まずは臨床像の変化を予測しながら適切な治療法を選択していくことが重要である. |
キーワード | 老年期,うつ病,双極性障害,長期予後 |
論文名 | 遅発性統合失調症の臨床像と長期予後 |
著者名 | 古茶大樹 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,15(9):1021-1027,2004 |
抄録 | 遅発性統合失調症の疾病分類学的問題点をあげ,それが臨床像や予後調査に影響を与えていることを指摘した.今日の遅発性統合失調症にはおもに3つの流れがあり,それぞれ臨床像や概念に違いがある.国際的には忘れ去られている遅発緊張病をどのように位置づけるかが未解決問題として重要である.長期予後については遅発性統合失調症の一部は器質性痴呆に移行することが知られているが,遅発性統合失調症そのものが痴呆の前駆症であるという結論はでていない. |
キーワード | 遅発性統合失調症,遅発パラフレニー,遅発緊張病 |
論文名 | 老年期アルコール関連障害の臨床像の変化と長期予後 |
著者名 | 北林百合之介,上田英樹,國澤正寛,福居顯二 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,15(9):1028-1032,2004 |
抄録 | 老年期アルコール関連障害の疫学,臨床像,治療,予後について概説した.問題飲酒は一般人口における比率と同等に存在し,アルコール依存症全体に占める高齢者の割合は増加傾向にある.若年発症の場合,背景には性格因の関与が大きいのに対し,老年発症では喪失体験や孤独など環境因の関与が大きい.依存治療では,背景にある喪失体験や孤独に焦点をあてた支持的対応が重要である.老年期アルコール依存症の予後は若年期に比して比較的良好である.家族の支援,通院,自助グループへの参加などが長期予後を改善する可能性がある. |
キーワード | 老年期,アルコール関連障害,疫学,臨床像,治療,予後 |
論文名 | 老年期せん妄の臨床像の特徴と予後 |
著者名 | 千葉 茂,田村義之 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,15(9):1033-1039,2004 |
抄録 | せん妄は,全般的な認知機能が一過性に障害される意識障害である.加齢とともにその発生率は増加し,入院中の高齢者における有病率も高い.老年期においては,せん妄は遷延しやすく,完全に回復しにくい傾向をもつ.また,痴呆を高率に合併し,複数の病因が認められることが多い.高齢者のせん妄は生命予後を悪化させる要因のひとつであり,身体疾患の死亡率を増大させるため,早期診断・早期治療が重要である.したがって,せん妄の初期症状としての不眠や睡眠覚醒リズムの障害をすばやくとらえることが重要である. |
キーワード | せん妄,高齢者,痴呆,予後,睡眠障害 |
論文名 | アルツハイマー型痴呆の記憶障害の変化と長期予後 |
著者名 | 数井裕光,ドロンベコフ・タラント,武田雅俊 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,15(9):1040-1046,2004 |
抄録 | アルツハイマー病(AD)患者のエピソード記憶と情動性記憶に注目し,エピソード記憶についてはアポリポタンパクE遺伝子のe4 が海馬の萎縮の進行およびエピソード記憶障害の進行を早める効果があることを,情動性記憶については情動によるエピソード記憶の増強効果は軽症のAD患者では健常者と同等に保たれているが,進行に伴いこの効果が低下することを示した一連の研究を紹介した.さらにAD患者の予後について総説した. |
キーワード | アルツハイマー病,エピソード記憶,情動性記憶,アポリポタンパクE遺伝子多型,予後 |
論文名 | 血管性痴呆の臨床像の変化と長期予後 |
著者名 | 北島明佳,木村通宏,新井平伊 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,15(9):1047-1052,2004 |
抄録 | 血管性痴呆(VD)は血管障害が原因であるため,ある程度の発症や増悪の予防が可能である.また,VDは身体合併症の合併を起こしやすくアルツハイマー病と比較しても生命予後が不良であり,早期に診断し発症・再発防止を目的とした治療を開始することが必要である.そのため,VDの臨床的特徴,経過・予後,危険因子,治療などあらゆる角度からVDを理解することが重要である. |
キーワード | 血管性痴呆,アルツハイマー病,多発梗塞性痴呆,ビンスワンガー病,予後 |