論文名 | 「2015年の高齢者介護」における痴呆ケア |
著者名 | 本間 昭 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,15(12):1349-1352,2004 |
抄録 | 介護保険制度が始まりほぼ4年が経過した.このなかで,要介護認定者のおよそ半数以上に痴呆が疑われることが明らかとなった.このようなことを背景として,2003年6月に,これからの高齢者ケアのあり方を示す「2015年の高齢者介護」が厚生労働省老健局によって示された.ここでは,新しいケアモデルノ確立として痴呆性高齢者ケアをこれからの高齢者ケアの標準型とすることが掲げられた.これを普遍化するうえでのいくつかの課題を示した. |
キーワード | 高齢者,痴呆,ケア,尊厳 |
論文名 | 痴呆の人に適したアセスメントとケアプランを考える;ICF概念を基盤とした痴呆の生活モデルの提案から |
著者名 | 今井幸充 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,15(12):1353-1361,2004 |
抄録 | 痴呆の人の生活支援行為としてのケアを提供するには,WHO国際生活機能分類(ICF)の概念に基づいた痴呆の人の生活を主体とするケアの視点から,彼らの生活モデルを明確にする必要がある.そのうえで,痴呆の人の生活ニーズを調査し,彼らの能力,要求や希望といった本人の強さや「したいこと」に視点をあてた支援が望まれる20).そのためには痴呆の人の生活ニーズを調査するアセスメントと,ケアの目標と動機づけにつながるケアプランの策定が必要であり,それら一連のケアマネジメントの過程では,痴呆の人の生活,エンパワメント,そして尊厳を支えるケアをキーワードにケアが実施されることが求められる. |
キーワード | ICF,痴呆の生活モデル,エンパワメント,尊厳を支えるケア,ケアマネジメント |
論文名 | 痴呆性高齢者ケアマネジメント センター方式シート(選択式)とその有用性 |
著者名 | 加藤伸司 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,15(12):1362-1368,2004 |
抄録 | 痴呆性高齢者ケアマネジメント センター方式シート(選択式)は,2004年に発表された「センター方式03版痴呆性高齢者ケアマネジメントシートパック」の改訂版である.このシートの基本的考え方は,痴呆性高齢者の尊厳を支えるために本人の視点に立った暮らしの継続性を確保するために,「その人らしいあり方」「安心・快」「自分の力の発揮」「安全・健康」「暮らしの継続性」の5つの視点をもっているところにある.センター方式シートは,「A.基本情報シート」「B.暮らしの情報シート」「C.心身の総合的情報シート」「D.焦点情報シート」「E.24時間アセスメントまとめシート」の5つのシート群から構成され,選択して使用できるようになっている.今年度は,「センター方式の理解と活用促進」「利用者中心のチームづくりと試行」「センター方式の実効性の検証」を目的に,16か所の地域を対象にモデル事業が展開されている.ケース担当者研修会には合計932人の関係者が参加し,約9割の人たちが痴呆ケアに対する新しい気づきがあったことや,アセスメントとケアプランに関する気づきがあったことを報告しており,担当者や家族からおおむね高い評価を受けている.現在個別ケースを検討して質的な分析を行うことや,アンケート調査を用いて量的な分析を行う作業が続けられており,その成果は今年度中に報告される予定になっているが,今後の課題としてシート自体の工夫や実用性の検討,信頼性や妥当性の検討などが必要である. |
キーワード | 痴呆性高齢者,アセスメント,ケアプラン,センター方式,ケアマネジメント |
論文名 | 居宅の痴呆性高齢者のケアマネジメント |
著者名 | 濱田靜江 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,15(12):1369-1376,2004 |
抄録 | "1.在宅における新しい痴呆ケアへの歩みを進めるために共通言語としてのセンター方式アセスメントを使う重要性を確認した. 2.身体機能にとらわれたアセスメントでは,課題抽出ができないケアプランとなり,モニタリングを何回行っても焦点があわず,痴呆性高齢者の生きる意欲は支えられないことに気づいた. 3.在宅にこだわった痴呆性高齢者と家族を,ケアマネジャーを中心としたすべての事業者がどう支えたのかを,センター方式に出会うまえのさまざまな試みについて検証した. 4.ケアマネジャーが無力感を抱かず,痴呆介護と家族支援をセンター方式との出会いにより,継続するためにセンター方式をすぐに取り入れた. 5.「私」(痴呆性高齢者)が地域で豊かに生きるためには「私」の気持ちをまず理解するスキル(アセスメントツール)を必要としていることと,その思いを共有するためにセンター方式は,たいへん有効なアセスメントの方法である." |
キーワード | 揺れる思い,共感,役割分担,情報の共有,豊かに生きる |
論文名 | グループホームにおけるケアマネジメント;出会いから別れまで生き方を支える |
著者名 | 蓬田隆子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,15(12):1377-1383,2004 |
抄録 | 「私らしく生ききる」:痴呆症のために自分が自分らしくなくなっていく不安を苦痛でゆがんだ顔で私たちにメッセージを送る利用者の人.この痛みを理解してもらえないどころか,まわりから混乱するという理由で,物をなくしなにもできない・させてもらえない環境づくりやケアをしてきた私たち.私ができる環境をつくってほしい.できないところをさりげなく手伝ってくれるだけでよい.自分の人生,自分の足で私らしく最期まで歩きたい.人としての当たり前の願いに沿うために,かかわる私たちのかかわり方が問われている. |
キーワード | 私らしく |
論文名 | Quality of Careをどう考えるか;Dementia Care Mapping(DCM)をめぐって |
著者名 | 水野 裕 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,15(12):1384-1391,2004 |
抄録 | Person Centred care(その人を中心とした介護)は,故Tom Kidwood教授によって提唱された概念である.彼は,その人を構成しているものは,認知能力だけでなく,アイデンティティ,感情,愛着を感じるもの,社会とのかかわりなど多種であり,痴呆をもつ人の場合も同様であると指摘した.それらをPersonhoodとよび,これを維持向上させることが痴呆ケアにおけるperson centred careであり,それを実行に移すツールとしてDCM(Dementia Care Mapping)法を開発し,現在,世界的に導入されている. |
キーワード | quality of care,person centred care,personhood,DCM(Dementia Care Mapping),Tom Kidwood |