老年精神医学雑誌 Vol.15-10
論文名 老年期統合失調症をめぐって;特集の序にかえて
著者名 松下正明
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,15(10):1123-1126,2004
抄録
キーワード
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論文名 老年期統合失調症患者の実態
著者名 梅津 寛,上山貴子,茂末諭理子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,15(10):1127-1135,2004
抄録 2004年6月現在,東京都立松沢病院で治療を受けている老年期統合失調症患者202例(入院67例,外来135例)について症状,経過などを調査し,その結果を報告した.重症例,晩期悪化例,晩期再燃例,晩期寛解例の4つについて症例をあげて解説した.経過については次のことがわかった.多くは発病から一定期間を経過すると産出性症状は減少し(第2の屈曲),晩期になると,さらに産出性症状は減少する(晩期寛解).発病期から急性に重症の欠陥状態に陥って,そのまま改善せず経過する1群がある.晩期寛解とは反対に,晩期に産出性症状を呈する1群(晩期再燃)と欠陥状態に陥る1群(晩期悪化)がある.また老年期の症状の特徴についても言及した.
キーワード 老年期統合失調症,経過,第2の屈曲,晩期寛解,晩期再燃,晩期悪化
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論文名 老年期統合失調症の症候論的特徴
著者名 三山吉夫
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,15(10):1136-1141,2004
抄録 高齢化した統合失調症の症候には,いくつかの特徴がある.入院期間は,27〜28年に及んでいる.多かれ少なかれ欠陥状態を呈し,高齢になるほど陰性症状の頻度が高くなり,感情鈍麻,茫乎,意欲減退を主症状とすることが多い.幻覚や妄想が存在しても,深刻感に乏しく,形骸化し非現実的な内容のものが多い.統合失調症の加齢に伴う痴呆化の特徴は,注意障害,課題に取り組もうとする意欲の低下による記憶の障害や遂行能力の低下である.
キーワード 統合失調症,長期入院,高齢化,症候
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論文名 老年期統合失調症の薬物治療
著者名 村松 大,上島国利
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,15(10):1142-1149,2004
抄録 近年,従来の定型抗精神病薬と比較し有害な副作用の発現が少ない非定型抗精神病薬が上市されるようになり,合併症の存在,副作用に対する忍容性の低さ,加齢に伴う身体機能の変化など,十分量の投薬が行えなかった高齢者にとって朗報である.一方,新規抗精神病薬によるあらたな副作用が報告されるようになり,また,その有効性の優劣よりも副作用における差異が治療選択の指針のひとつとして考えられることから,各薬物の特徴だけではなく,副作用,とくに錐体外路症状,悪性症候群,心電図異常,高プロラクチン血症,肥満・代謝異常に焦点をあて記載した.また,わが国における多剤併用療法の現状から単剤化へ向けた論文を集積し記載を行った.
キーワード 統合失調症,加齢,非定型抗精神病薬,副作用
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論文名 老年期統合失調症患者の社会復帰
著者名 小川一夫,川関和俊
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,15(10):1150-1156,2004
抄録 老年期統合失調症患者に対する中間施設(ホステル)を介した社会復帰の現状と課題について述べた.ホステル利用者148人のうち,訓練を修了して社会復帰できた人は136人(91.9%)であり,社会復帰1年後において地域生活を持続できていた人は,転帰判明者114人中93人(81.6%)であった.社会復帰への働きかけにおいては,当人の指向性や矜持を支えながら意欲,活動性を引き出すことの重要性などについてふれた.
キーワード 統合失調症,老年期,社会復帰,ホステル,転帰
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論文名 老人福祉施設における老年期統合失調症者の現状と諸問題
著者名 松原三郎
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,15(10):1157-1164,2004
抄録 介護老人福祉施設に入所している統合失調症者について,金沢市内施設の状況を調査したところ,その割合は1.1%であった.要介護度は4〜5でADLは低下しており,このために介護上では,他の入所者との大きな差異を認めなかった.養護老人ホームでは,統合失調症者は約9%で,比較的ADLが保たれており,精神症状のために介護に困難をきたす例が少なくない.ADLが低下した例(要介護4〜5)については,介護を目的として介護老人福祉施設等への移動が必要であるが,高齢であってもADLが保たれ精神症状が中等度以上の例では,現状の福祉施設ではなく,精神科医療が十分に受けられるあらたな施設(居住福祉施設,または医療型福祉施設)が必要である.
キーワード 高齢統合失調症患者,介護老人福祉施設,日精協マスタープラン調査,居住福祉施設
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