老年精神医学雑誌 Vol.14-6
論文名 高齢者の精神科医療と事故;その実態について
著者名 松原三郎,川田和人
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,14(6):715-721,2003
抄録 近年,精神科病院におけるリスクマネジメントがさかんに行われるようになった.インシデント・アクシデントレポートの集計結果をみると,精神科では一般科とは異なって,与薬ミス報告が最も多く,転倒・転落がこれに続き,その他に無断離院や暴力行為などの精神科特有の報告もあった.転倒・転落報告件数は高齢者の入院割合が多くなると増加する傾向にあり,とくに老人性痴呆疾患専門病棟では最も多く半数以上を占める.当院の高齢者病棟での転倒・転落事故報告の内容を分析すると,内服薬,痴呆症状,下肢筋力低下など多くの要因が複雑に関与していることが明らかとなった.
キーワード 医療安全管理,インシデント報告,アクシデント報告,与薬ミス,転倒・転落事故
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論文名 高齢者の精神科医療と事故;情報の整理と対策
著者名 天賀谷隆
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,14(6):722-727,2003
抄録 医療の現場では事故のない安全で快適な入院生活を願っているが,年々,入院患者の高齢化,虚弱化が進むと同時に介護量が増加している現状がある.事故をなくすためには,具体的な方策を考え努力しなければならない.また大きなダメージを受けないためにも,日常の患者のもつ病気への対応だけではなく,高齢者の一般的な行動特性について理解することも大切である.事故後の対応策だけでなく日常の援助行動を見直し,事故情報システムを構築する必要がある.
キーワード インシデントレポート,情報システム,コンピュータ,マネジメント,看護業務
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論文名 高齢者の介護とリスク;家族の立場から
著者名 小山 剛
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,14(6):728-733,2003
抄録 高齢者の介護をリスクとしてとらえてしまうことは,高齢期自体を否定してしまうことになる.高齢者介護のリスクとは,高齢者自身が望む暮らしを支えられない,また同居している介護者に過重な負担を強いていること,さらにはこれを公的なシステムで支えようとしていないことなどが,さまざまなリスクを生じさせていることに注視しなければならない.
キーワード バリアフリーの住環境,フルタイムの介護サービス,サービスの主体は自分自身,介護=リスクではない,過剰な介護負担=リスク
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論文名 高齢者の精神医療における事故防止の試み;リスクマネジメントの試み
著者名 須貝佑一,杉山智子,小林奈美
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,14(6):734-739,2003
抄録 高齢者精神医療の事故の大半は転倒,転落事故である.リスクマネジメントの力点はまず転倒・転落対策におかなければならない.そのために医療環境に潜むリスクと事故の被害者側にも内在するリスクを同時に評価しなければならない.事故を詳細に分析し,結果を解釈するだけでも有効な事故対策の指針が見いだされる.理念のみの先行は避け,痴呆,精神障害の状態と生活能力を判断し,必要な生活環境を整えるのが専門性のある高齢者精神医療,介護施設である.その判断にはリスクの予見と回避の努力が実行されていなければならない.
キーワード 痴呆,介護保険,転倒事故,リスクマネジメント,高齢者
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論文名 .高齢者の精神医療施設における事故防止の試み;ハード面からのアプローチ
著者名 吉岡 充
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,14(6):740-747,2003
抄録 痴呆性高齢者を守るためのハードの研究はまだわが国において十分とはいえない.椅子・ベッド文化のなかで育ってはいない現在の多くの高齢者たちにとって,現在の施設・病院の生活は不慣れなものである.床材については少しわかってきたこともあり,あるものはすり傷や打撲に対しての効果は明らかであるが,骨折に対してはまだ明らかでない.これからの緊急の研究課題であろう.ハード,ソフトともにバリアフリーのなかでの安全対策をみなで,それもスタッフの配置が厳しくなるなかで考えていこうというのは大変な作業ではある.
キーワード 痴呆性高齢者の3つのリスク(転倒・誤嚥・抑制),転倒予防,5つの基本的ケア,向精神薬,痴呆のリハビリテーション
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論文名 高齢者精神科医療の事故と法的諸問題;医療訴訟 最近の動向:とくに医療事故(医療過誤),因果関係と期待権について
著者名 深谷 翼
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,14(6):748-753,2003
抄録 高齢者精神科医療に従事する医師に限らず,医師等医療従事者ならだれしもが避けたいと願っている問題は,医療事故(医療過誤)ないしは医療訴訟であろう.医療に対する国民一般の期待が高まれば高まるほど,反対に,医療事故についても医師等医療側の責任を厳しく追及してくることが予想される.そこで,本稿では,損害賠償責任の帰責上の要件である「過失」および「因果関係」ならびに比較的新しい法理論である「期待権」について,判例の動向を踏まえて論述した.
キーワード 医療事故(医療過誤),医療訴訟,過失,因果関係,期待権
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論文名 高齢者の精神科病院・施設における医療・介護事故について
著者名 松岡 浩
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,14(6):754-762,2003
抄録 裁判における「過失」認定の判定枠組みやその傾向を知ることは重要なことであるが,それがただちに事故の防止につながるものではなく,人間の情報処理過程における「ヒューマンエラー」を知り,事故防止に役立てることが重要であると考え,両者の違いを論じた.次に,高齢者の医療事故等に関する若干の裁判例を紹介し,日精協誌委員会報告に基づき医療事故等の類型を示した.患者の状態の「観察・認識」「病状判断・処置選択」とその「実行」が重要であると考える.
キーワード 医療事故,民事責任,過失,ヒューマンエラー,事故防止
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