論文名 | 新成年後見制度の運用の実情 |
著者名 | 山門 優 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,14(10):1209-1214,2003 |
抄録 | 平成12年4月1日に新しい成年後見制度が施行されてから3年半が経過したが,成年後見制度の事件数は,新制度になってこれまで以上に増加する傾向を示しており,そのような状況のなかで家庭裁判所は,これらの事件の円滑な進行に向けてさまざまな努力をしている.本稿は,新成年後見制度施行後の実務の運用状況について,申立件数の動向,申立ての実情,鑑定・診断の実情,成年後見人等の選任の実情等に関する事柄を中心に紹介するものである. |
キーワード | 申立件数,申立ての実情,鑑定,診断,成年後見人 |
論文名 | 成年後見業務の実際 |
著者名 | 前田 稔 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,14(10):1215-1220,2003 |
抄録 | 成年後見人は,本人の状況を調査のうえ,財産目録の調整・年間収支予定表の作成等を行ったうえで,本人の財産管理や身上監護について代理を行っていく.しかし,実際には医療や死亡後の事務など,必ずしも法的に解決されていないことに対して,対処せざるをえないことも多い.成年後見制度を広く身近なものとし,普及浸透させていくためにも,さまざまな専門家,職能,機関などの連携が必要である. |
キーワード | 成年後見,代理権,自己決定,身上配慮,連携 |
論文名 | 成年後見制度と家庭裁判所の審理;家庭裁判所調査官による調査手続を中心に |
著者名 | 岩瀬純一 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,14(10):1221-1227,2003 |
抄録 | 成年後見制度の制定の経緯および特徴を概観したうえで,家庭裁判所における成年後見関係事件の審理手続について家庭裁判所調査官の調査を中心に概説した.家庭裁判所は,本人との利益が相反することのない信頼性の高い者を後見人等に選任するためにさまざまな側面から調査を行っているが,本人の精神能力の判断にあたっては,医師による精神鑑定結果あるいは診断結果が重要な役割を占めている.今後とも本制度への一層の御理解,御協力をお願いしたい. |
キーワード | 後見人の適格性,法律行為と事実行為,精神鑑定書および診断書記載のためのガイドライン |
論文名 | 成年後見制度と意思能力判定の構造 |
著者名 | 五十嵐禎人 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,14(10):1228-1239,2003 |
抄録 | あらたな成年後見制度の基本理念である自己決定権の尊重,残存能力の活用といった新しい理念を活かした制度運用がなされるためには,能力判定についてもあらたなアプローチが必要と考えられる.本稿では,欧米における議論をもとに,意思能力判定については,(1)機能的能力,(2)capacity(医学的に判定される臨床状態としての能力),(3)competence(法的身分としての能力)の3層構造をなすモデルが採用されていることを示した.次いで,成年後見制度における行為能力判定の構造について,このモデルを適用したあらたなモデルを提示した.最後に,現在の成年後見制度の運用状況を検討し,今後の能力判定の課題について述べた. |
キーワード | 意思能力,行為能力,成年後見制度,高齢者,精神鑑定 |
論文名 | 成年後見制度と自己決定;自己決定の仕組みとしての任意後見制度 |
著者名 | 新井 誠 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,14(10):1240-1250,2003 |
抄録 | 成年後見制度は法定後見制度と任意後見制度との双方からなり,被保護成年者の自己決定を尊重する制度であるが,とくに任意後見制度は自己決定がストレートに尊重される仕組みとなっている.本稿では,このような任意後見制度の内容,その導入の背景,諸外国との比較について検討してみたい. |
キーワード | 成年後見制度、自己決定,法定後見制度,任意後見制度 |
論文名 | 成年後見制度における身上監護の意義と可能性 |
著者名 | 小賀野晶一 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,14(10):1251-1253,2003 |
抄録 | 成年後見法は財産管理のみならず,身上監護についても重要な役割を果たすべきである.たとえば,医療分野では,医療同意が考えられる.新法は医療同意については規定せず,この問題を一般法に委ねた.新法の解釈論は肯定説と否定説に分かれている.医療同意は本人の身上に関する問題ととらえ,身上監護能力が減退している場合について,医療行為の適切性を客観的に確保しあるいは監視する機能を成年後見に求めることが考えられる.そこでの支援者は,家族のほか,第三者も可能というべきである.家族は最も有力な支援者となりうるが,家族に限定する合理的理由は存在しない.この分野の理論的研究の進展と地域でのさらなる展開を期待したい. |
キーワード | 成年後見,身上監護,身上配慮義務,医療同意,財産管理 |
論文名 | 家族の立場からみた痴呆性高齢者と成年後見制度の現状 |
著者名 | 三宅貴夫 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,14(10):1254-1259,2003 |
抄録 | 社団法人「呆け老人をかかえる家族の会」が会員を対象に2001年に行った成年後見制度の利用状況に関する調査報告から,制度があることはよく知られているが,その内容までは十分には知られていないこと,制度を知った媒体はマスコミが多くこれに市区町村の広報などが利用されていること,現在制度を利用する必要性はないが将来利用する意思がある家族が少なくないこと,利用に際しての相談は家庭裁判所が多く司法書士や弁護士がこれに次ぐことなどを明らかにした.この結果に基づき家族にとって成年後見制度が広く知られ,利用しやすい制度にするための私見を述べた. |
キーワード | 介護家族,社団法人呆け老人をかかえる家族の会 |