論文名 | 地域における痴呆の早期発見の意義と対応の考え方 |
著者名 | 池田 学 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,14(1):9-12,2003 |
抄録 | さまざまな治療法の開発に伴い,ごく早期痴呆の発見が以前にも増して重要な意義をもちつつある.地域におけるこのような高齢者の発見には,地域住民が痴呆の早期発見の意義を十分に理解し,住民の側から積極的に相談事業や予防事業等に参加するようになるまで長期的な視点に立った啓発活動を続ける必要がある.今後地域で痴呆の早期発見の試みがさかんになれば,その受け皿づくりも大きな課題となるであろう.地域に根づいた活動の長期的な発展には,行政や医療,福祉の関係者が中心になるよりも,地域住民が主体的に参加することが必要である.痴呆予防事業を展開する場合,インフォームド・コンセントに伴う病名告知の問題も今後の課題である. |
キーワード | 早期発見,痴呆,地域,発症予防,病名告知 |
論文名 | 痴呆の早期発見のためのスクリーニング検査に求められる条件 |
著者名 | 高山 豊 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,14(1):13-19,2003 |
抄録 | 痴呆の早期発見のためのスクリーニング検査の構成要件を検討した.痴呆へと移行する際にみられる認知障害の特徴を考慮して記憶障害の評価を重視した構成の各種認知検査バッテリーを比較した.低い痴呆有病率の集団においても高い疾患検出力と診断の正診率を示すことを指針として,短時間で実施できる検査を選別した.また行動観察尺度を用いたスクリーニング検査は簡便であり,広範な現場に適用できる可能性をもつことにも言及した. |
キーワード | 痴呆,早期発見,認知機能検査,記憶障害,positive predictive value |
論文名 | 早期の痴呆あるいは前駆状態を対象とした介入プログラムのあり方 |
著者名 | 矢冨直美 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,14(1):20-25,2003 |
抄録 | 本稿では,最近の研究結果に基づいて,痴呆予防や進行遅延化の可能性とその根拠について考察した.さらに,軽度認知障害群や加齢関連認知的低下群に対する認知的刺激プログラムとして,エピソード記憶,注意分割機能,計画力(思考力)を刺激する必要があることを論じた.また,軽度痴呆および痴呆予備軍に対する認知的なプログラムの方法として,行動変容理論を応用し,動機づけを持続し,自己効力感を強化する方法を提案した. |
キーワード | 痴呆予防,痴呆進行遅延化,軽度認知障害,加齢関連認知的低下,自己効力感 |
論文名 | 群馬県における「もの忘れ検診」について |
著者名 | 月岡鬨夫 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,14(1):26-34,2003 |
抄録 | 群馬県医師会は群馬大学医学部精神神経科,神経内科および群馬県こころの健康センターと共同で「もの忘れ検診」のプロジェクトを発足させた.目的は痴呆の早期発見であるが,治療や追跡調査も含まれている.この検診は郡市医師会を中心に老人保健法の住民基本検診と同時に実施し,かかりつけ医が中心となる.受診者も気軽に抵抗なく受診でき,経過観察が可能な点がすぐれていると考えられる.この検診は全県下で数万人規模の事業に展開する予定であり,その場合は県や市町村の行政サイドの資金的,人的援助は不可欠で,そのほかに保健師の教育,鑑別診断施設の整備も必要となる. |
キーワード | 郡市医師会,住民基本検診,かかりつけ医,行政の協力,鑑別診断施設 |
論文名 | プライマリ・ケア医の役割 |
著者名 | 松岡史彦 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,14(1):35-41,2003 |
抄録 | (1)プライマリ・ケアは地域を基盤とした包括的な医療活動であり,痴呆予防・早期発見に適している. (2)青森地域医療研究会の活動は地域における啓発と連携に寄与しており,痴呆予防活動やスクリーニングの検討も行っている. (3)外来での早期発見には介護保険における主治医意見書や高齢者総合評価が契機となりうる. (4)啓発活動は痴呆予防や早期発見,地域での体制整備に必要であり,積極的に取り組むべきである. (5)小学校を中心にした生活の場における活動を今後の目標としたい. |
キーワード | プライマリ・ケア,青森地域医療研究会,主治医意見書,高齢者総合評価,包括ケア |
論文名 | 保健師の役割 |
著者名 | 梅津初子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,14(1):42-46,2003 |
抄録 | ぼけても安心して暮らせる地域づくりを進めるには,地域で暮らす住民全体で痴呆予防を考え,実践する仕組みをつくっていくことが,最も大切なことと考えられる.そのためには,痴呆症の理解と予防につながる啓発普及とさらに,早期発見・早期対応のネットワークづくり,痴呆になりかけの時期を支える効果的な予防活動の展開が重要である. |
キーワード | 地域における痴呆予防活動の必要性(地域住民が痴呆予防活動の主役,自主グループづくり),人材育成,かかりつけ医等との連携,痴呆の早期発見・早期対応のネットワークとシステムづくり |
論文名 | 滋賀県水口町における軽度痴呆早期発見への取組み |
著者名 | 堀井とよみ |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,14(1):47-58,2003 |
抄録 | 昭和62年から痴呆対策を進めるなかで,軽度痴呆の初期兆候は,社会機能の低下や生活障害であることに気づき,これらを視点にした問診票を開発し,軽度痴呆スクリーニングが可能になった.一次スクリーニングは高齢者本人が記入する20項目と家族が記入する15項目からなり,二次スクリーニングは保健師の家庭訪問による聞き取り調査とした.保健師の聞き取り項目では,本人の訴える精神症状と家族の訴える活動性の変化に注意が必要である. |
キーワード | 軽度痴呆健診,保健師問診表,生活障害,家族,活動性 |