第18回日本老年精神医学会 演題抄録 |
【U 1−41】 |
遅発発症の幻覚妄想状態の臨床特徴と薬物反応性 |
香川医科大学精神神経医学講座 平尾 徹 森本 清 中村光夫 渡辺岳海 熊 宏美 二宮貴至 亀山有香 岡本華代 洲脇 寛 |
退行期に幻覚妄想状態を呈する疾患として代表的なものに妄想性障害,遅発性統合失調症などがあげられる.今回,退行期以後発症とりわけ老年期発症の幻覚妄想状態の疾患カテゴリー,薬物反応性と臨床特徴を調査した.1995年から1999年の5年間における当院精神神経科入院症例のうち,初発,未治療の幻覚妄想状態を主症状とする症例を対象とした.40歳以上,65歳未満および65歳以上に分けて,レトロスぺクティブにDSM-W診断,発症および入院時年齢,病前適応レベル,症候学的側面,薬物治療反応性,転帰などについて調査した.あわせて若年発症の統合失調症例との比較も試みた.結果は40歳以降発症の幻覚妄想状態を主症状とする症例は30例であり,診断は統合失調症が9例,統合失調様障害が3例,短期精神病性障害が5例,妄想性障害が13例であった.65歳以上に限ると対象は8例であり,妄想性障害が6例,その他2例であった.若年発症の統合失調症例に比べて,対照群では女性例が多く,少量の抗精神病薬に比較的短期間に反応することが認められた.一方,退行期以後に発症する妄想性障害群と遅発性統合失調症群の薬物反応性は近似していた. |
2003/06/18 |