第18回日本老年精神医学会 演題抄録

 

I 2−24

タッチパネル式CRTを利用した対話型双方向インターフェースによる認知機能評価の試み
  

札幌医科大学神経精神科
佐々木竜二 畠山佳久 田嶋崇宏
斎藤利和
 北海道医療大学心理科学部   中野倫仁
 札幌医科大学保健医療学部作業療法学科
         池田 望  村上新治
 アルツハイマー病(以下AD)患者においては,視空間認知の障害,視対象と自己身体各部の座標系の措定の障害などが比較的初期から現れることが知られているが,これら障害の発現メカニズムに関しては,いまだ未解明な部分が多く,これらの認知機能障害を病初期から,より簡便かつ客観的に検出する検査法の開発が望まれる.
 そこで,本研究では,超音波表面弾性波方式を利用したタッチパネル方式CRTによる対話型双方向インターフェースを利用し,CRTに提示された刺激に対する被験者の手指の反応を解析するシステムをあらたに開発することにより,より短時間に,より簡便にそして非侵襲的にヒトの認知機能に対する一定の評価を行うシステムをあらたに開発することを目標とした.
 CRT画面は任意の個数の矩形のセグメントに分割されており,各セグメントには任意の時間間隔をおいて任意の図形,文字,色などが提示されてゆく.被験者にはセグメントに提示された刺激の順序を記憶し,刺激提示終了後に,画面を指で触れることにより,その順序を再生してゆくように教示した.CRTに接続されたコンピュータ上で動作しているプログラム本体では,この際の被験者の反応時間と,遂行した課題の正誤とが記録される.本研究の趣旨に対する同意を得たボランティアの高齢健常者(以下HC)8例と当院物忘れ外来を受診し同じく同意を得た初期AD患者8例を対象とした.
 この結果,AD群においては,HC群に比べて再生初期の段階における誤謬が優位に多くなる傾向が認められ,また,AD群においては,HC群に比べて反応時間が優位に延長する傾向が認められた.これらの結果の報告とともに若干の予備的考察を加えてみる.

2003/06/18


BACK