第18回日本老年精神医学会 演題抄録 |
【I 2−18】 |
救命救急センターにおける高齢者に対するコンサルテーション・リエゾン活動 |
香川医科大学精神神経医学講座 熊 宏美 平尾 徹 中村光夫 渡辺岳海 二宮貴至 亀山有香 岡本華代 森本 清 洲脇 寛 |
高齢者は老化を前景に精神・身体的な予備能力が低下しており,身体疾患とともに精神症状を呈する可能性が高く,コンサルテーション・リエゾン活動を行うことが重要となる.香川医科大学附属病院では,平成13年11月より,救命救急センター16床,救命救急ICU5床からなる救命救急センターが設置された.従来より救急部からのニーズが高かったこともあり,救命救急センター設置時より専属の精神科医が,毎日の朝,夕のカンファレンスに参加するという形式でより積極的にコンサルテーション・リエゾン活動を実施するようにした.今回,平成13年,平成14年の救命救急センター入院患者に対する精神科コンサルトの実態,とくに高齢者について調査を行った結果を報告する.平成13年11月から平成14年12月までに救命救急センターに入院した患者のうち,精神科医が関与した症例数は150名で,全入院数(428名)の35.0%を占めていた.性別は男性69名,女性81名であった.そのうち65歳以上の症例数は62名で,65歳以上の入院数(176名)の35.2%を占め,男性32名,女性30名であった.依頼理由は,65歳以上ではせん妄が最も多く,29名にみられた.とくにICUに入室した患者でより高率に認められた.65歳未満でせん妄のため関与した患者は4名であった.また,65歳未満で最も多かった依頼理由は自殺企図(37名)であったが,65歳以上では1名のみであった.救命救急センターでのコンサルテーション・リエゾン活動には若年者と高齢者で大きな違いがあり,また特徴はあるものの依頼内容は非常に多岐にわたるため,コンサルテーション・リエゾン活動には幅広い知識と経験が要求されること,また,やはり高齢者,とくにICU入室患者では高率にせん妄が認められ,身体疾患の治療上からもせん妄に対する急速な対応が必要となる場合が非常に多いことが明らかとなった.近年のわが国の高齢化社会に伴い,高齢者の入院患者も増加傾向にあるため,今後もコンサルテーション・リエゾン活動の担う役割は大きいものと思われる. |
2003/06/18 |