第16回日本老年精神医学会 演題抄録

 

【II B-18】

生化・神経病理・行動科学

人血清中に含まれる抗アミロイド・ベータ蛋白抗体について
      
 

大阪大学大学院医学系研究科神経機能医学講座  大河内正康 工藤喬 武田雅俊
  

 アルツハイマー病の動物モデルであるアミロイド・ベータ蛋白前駆体・トランスジェニックマウスでは形態的に海馬を中心とした大脳皮質に老人斑に類似するアミロイド・ベータ蛋白蓄積が認められ,加齢に伴ってその量は増大する.このマウスに42残基のアミロイド・ベータ蛋白を抗原として免疫すると,そのマウス老人斑の数が減少し程度が軽減することが報告されている.またこの現象の過程で,アミロイド・ベータ蛋白を免疫した結果生成された抗アミロイド・ベータ蛋白抗体が脳内のマウス老人斑に結合し,蓄積物代謝を促進する可能性が示唆されている.これらの結果からわれわれは,抗アミロイド・ベータ蛋白抗体が人血清中に存在しアルツハイマー病老人斑の形成に阻害的に関与している可能性について検討する必要があると考えた.われわれは今回,人血清中の抗アミロイド・ベータ蛋白抗体を精製しその性質について検討したので報告したい.

2001/06/15


 演題一覧へ戻る