第16回日本老年精神医学会 演題抄録

 

【II B-17】

遺伝

日本人APOE-ε4キャリヤーにおけるAPOE-ε4対立遺伝子量,ミトコンドリア型アルデヒド脱水素酵素欠損,性のアルツハイマー型老年痴呆発症リスク効果
      
 

大阪大学大学院医学系研究科神経機能医学講座・
日本医科大学老人病研究所生化学部門
紙野晃人
日本医科大学老人病研究所生化学部門
西槙貴代美 太田成男
大阪大学大学院医学系研究科神経機能医学講座
武田雅俊
  

 APOE-e4対立遺伝子はアルツハイマー型老年痴呆(SDAT)の遺伝的発症リスクとして認知されている.また,日本人にはミトコンドリア型アルデヒド脱水素酵素欠損型(ALDH2欠損)が高頻度に存在し,ALDH2欠損がAPOE-e4キャリヤーのSDAT発症リスクを増強することをわれわれはすでに報告している.そこで,65歳以上の日本人APOE-e4キャリヤー335例を対象として,SDAT発症におけるAPOE-e4量,性,ALDH2欠損の影響を多変量解析にて検討した.その結果,APOE-e4キャリヤーにおけるSDAT発症は,APOE-e4量(p=0.0001),女性であること(p=0.0002),ALDH2欠損(p=0.007)といずれも有意な相関を示した.また,APOE-e4キャリヤーにおけるSDAT発症効果はAPOE-e4/e4型が20%,女性であることが20%,ALDH2欠損型が14%であると推定された.以上の結果から,これらの指標がSDAT早期診断に有用であると考えられた.

2001/06/15


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