第16回日本老年精神医学会 演題抄録

 

【II B-13】

脳波関係

DIMENTION (Diagnosis Method of Neuro-^nnal Dysfunction)を用いた造形療法の効果判定について
      
 

一心会伊奈病院脳神経外科・東北福祉大学感性福祉研究所  木村伸
東北福祉大学感性福祉研究所・(株)脳機能研究所  武者利光
  

【目的】われわれは,1996年2月より造形療法を用いて老人性痴呆症の治療を行ってきた.1年以上治療した患者では,Mini-Mental-State Examination(MMSe)にて年平均1.01点改善し,70%の患者の悪化予防が可能であった.今回,脳波解析からDipolarityを計測し,脳機能状態を推定するDIMENTIONを用いて,治療中の患者の脳機能解析を行い,造形療法の有効性を客観的に検討したので報告する.


【方法】
痴呆症の診断は,DSM-V-Rを満たすものとした.対象患者は,1年以上治療した67名のうち,脳波解析を行うことができた4名である.治療評価はMMSeで行った.脳波は,21個の電極を10-20法により配置し,作業前安静時,作業中,作業後安静時を連続測定した.Dipolarityは作業前安静時,作業後安静時の後頭葉a波から計算した.このDipolarityの変化から治療の有効性を検討した.


【結果】
造形療法により全例Dipolarityは改善した.Dipolarityが低いほど改善率は高く,Dipolarityが正常に近いほど改善率はわずかであった.また,治療1週間後では改善効果が保たれていたが,2週間後では再び悪化する傾向がみられた.


【結論】
DIMENTIONにより,造形療法は患者の脳機能を改善する効果があることを客観的に明らかにできた.また,この機能改善効果は可逆的であり,時間の経過とともに低下することが推定された.

2001/06/15


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