第16回日本老年精神医学会 演題抄録

 

【II A-22】

ケア

痴呆性老人に対するドッグセラピーの試み
      
 

大阪教育大学健康科学講座  元村直靖 上野琴子 松下典子 三枝梓
老人保健施設アロンテイアクラブ  矢木崇善
日本レスキュウ協会  大山ひとみ
  

 精神症状尺度を指標として4日間連続のドッグセラピーを施行し,ドッグセラピーの効果を検証した.A介護老人保健施設の入居者のうち,犬に好意的であり,4日間セラピーに参加した8名(老年痴呆4名,脳血管性痴呆4名,平均年齢84.8±7.0歳,全員女性)を対象とした.セラピー前後に,アパシー尺度,焦燥感尺度,高齢者抑うつ評価尺度(GDS),日常生活動作能力評価尺度(PSMS)およびMini-Mental State Examination(MMSE)の5つの尺度を測定した。セラピーは4日間連続,1日1時間とし,日本レスキュー協会の犬2頭を用いて,セラピー犬とのふれあい,犬を観察する,および犬が対人関係に介在するの3つの内容で実施した。その結果,焦燥感尺度,GDS,PSMS,MMSEには統計上有意差は認められなかったが,セラピー対象者のドッグセラピーに対する主観的な印象はほぼ良好であり,アパシー尺度に改善がみられた.このことから,4日間のドッグセラピーが痴呆性老人の精神面に好ましい影響を与えていることが示唆される.

2001/06/15


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