【目的】在宅要介護高齢者(要介護者)の介護者の介護負担を縦断的に調査し,在宅介護成功群と非成功群を比較し,関連要因を検討すること.
【方法】1998年に宮城県松山町在住の要介護者とその介護者70組を対象として自記式質問紙を配布し,介護者の属性,介護負担(Araiらが日本語版を作成したZarit介護負担尺度:ZBIを利用)等について質問した.さらに要介護者の痴呆の有無,日常生活動作(ADL)等について訪問調査を行った.1999年に同様の調査を行い,1年間同じ介護者による在宅介護が継続した47組を解析対象とした.これらの対象者をZaritらの定義に従い在宅介護成功群と非成功群に二分し,両者の特性を比較した.さらに多変量解析を用いて,介護者が1年後に在宅介護非成功群に属するリスクファクターを検討した.
【結果】多変量解析の結果,痴呆を介護している介護者はそうでない介護者よりも在宅介護非成功群に属するリスクが5倍であり(OR=0.21,95%CI=0.05-0.86),逆に介護者が配偶者である場合はそうでない場合よりも在宅介護非成功群に属するリスクが1/5であった(OR=5.08,95%CI=1.1-23.2).
【考察】在宅介護継続の介護者は全体としては介護負担が低下した一方で,成功群と非成功群には大きな違いがみられた.介護者の精神的健康状態をモニターするうえで個別の介護負担にも着目する必要があると考えられる.
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