第16回日本老年精神医学会 演題抄録

 

【II A-17】

ケア

老人性痴呆疾患(治療)病棟における機能回復訓練の
実施と結果について
      
 

相模原友愛病院  市村公正 昇塚清民 高瀬克忠
  

 相模原友愛病院に入院中の,痴呆を主症状としている高齢の患者に対して毎日午前・午後各2時間の痴呆疾患治療訓練の実施状況について述べる.
 訓練は個別訓練と集団訓練からなり,個々のADLの回復と現在の機能保持のため毎日指導を続けている.集団訓練は,作業療法士の指導と看護婦の介助,医師の観察のもとホールに集められた痴呆老人に対して,健康体操,音楽療法,合唱,リズム楽器使用による訓練,種々の器具を用いての機能回復訓練,起立歩行,ダンス等運動療法,絵画,折り紙等々の芸術創作等のカリキュラムに従って,毎日実施されている(土・日・祝日は休み).
 個々の訓練計画とリハビリゴールを定め,毎日評価と記録を記入し,精神面と身体面の回復の程度をみながら社会復帰をはかる.
 実施を始めてまだ日が浅いので明確な評価を得ることはできないが,少なくとも各機能は改善されつつある.精神機能の回復に関し,長谷川式簡易知能評価スケール得点の著明な改善はみられなかった.しかし入院時にみられた徘徊,興奮や多弁,昼夜逆転が消失し,日夜ともに看護しやすい状況になった.向精神薬・唾眠導入薬を投与していた症例も,これを中止して安定を続けている.このことから,訓練の毎日の実施は痴呆に伴う諸症状に効果があると考えている.

2001/06/15


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