第16回日本老年精神医学会 演題抄録 |
【II A-14】 |
社会対応 |
痴呆性疾患専門病棟在院患者における全国調査;診断と介護保険に関する分析から |
今村病院 稲庭千弥子 |
【はじめに】痴呆疾患を有する患者の要介護認定を検討するために,「痴呆疾患と要介護認定に関する調査」を実施した.本報告の目的は,精神科病院の痴呆疾患専門病棟における入院患者の特性を精神医学的診断に焦点をあてて分析することである.
【対象と方法】対象は,診療報酬上の施設基準である痴呆性疾患治療病棟および療養病棟である.1999年4月に該当病棟を登録していた253(治療127,療養126)病院に調査依頼したところ,180(治療93,療養87)病院から回答が得られた(回答率71%). 【結果】診断については,アルツハイマー型痴呆が400名(50.6%),脳血管性痴呆が391名(49.4%)であった.アルツハイマー型痴呆の患者は,脳血管性痴呆の患者に比較して有意に,女性が多く,また家庭からの入院が多く,一般身体疾患の併存が少なく,「目的のない動き」が多く,意思疎通が困難であった.またアルツハイマー型痴呆では,改訂長谷川式簡易知能評価スケール得点が,脳血管性痴呆患者より有意に低かった.なお,要介護度一次判定では,入院形態に統計学的な有意な違いはなかった. 【おわりに】本報告は,わが国における痴呆専門棟における利用者の特徴と,診断との関係の一端を示している.これらから,痴呆性疾患専門病棟の診療の流れおよびその前後の診断治療ケアシステムに若干の検討を加えたい. |
2001/06/15 |