第16回日本老年精神医学会 演題抄録 |
【II A-9】 |
社会対応 |
介護保険施設入所時における契約能力,意思能力の研究 |
東愛知県立城山病院 水野裕 |
2000年4月から介護保険制度が施行された.従来の福祉制度は,本人の意思のいかんにかかわらず行政が一方的にサービス提供(「措置」)できる仕組みであり,本人に判断能力がなくてもサービスの提供は可能という建て前であった.しかし,新制度のもとでは,利用者(要介護者)とサービス事業者とが直接,契約を結ぶ方式へと変更されたため,利用者の判断能力(契約能力)の有無およびその程度が問題となる.判断能力の不十分な高齢者や障害者の意思決定をバックアップするひとつの有力な手段は成年後見制度であるが,ことさらに利用が強制されると,これら高齢者や障害者の福祉サービスの利用が遅れる可能性がある.どう運用するかはこれからの検討課題であるが,本研究は,新制度のもとで施設入所を選択した人たちの契約能力の実態把握を目的としたものである.対象としては,愛知県内で調査協力の得られた介護保健施設(特別養護老人ホーム・老人保健施設)に平成12年4月以降,入所した者であって,入所者本人および保護者双方から,研究に関する十分な説明をしたうえでの同意を文書で得られた者を対象とした.研究方法としては,家族・本人の同意のもと,入所者本人の介護認定調査結果の開示を各市町村に求め,理解力・判断能力等に関する項目を集計した.同時に,施設のケアマネージャーが当方の作成した判断能力および理解力に関するミニテストを実施し,その結果を集計した.当日,調査結果を報告し,若干の考察を試みたい.なお,本研究は厚生省老人保健健康増進等事業から支出された研究費によるものである. |
2001/06/15 |