第16回日本老年精神医学会 演題抄録

 

【II A-6】

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オピオイド受容体活性における加齢の影響;11C-diprenorphine PETによる定量的検討
      
 

大阪大学大学院医学系研究科神経機能医学講座・精神医学
上間武 西川隆 武田雅俊
MRC Cyclotron Unit, Hammersmith Hospital
James S, Rakshi Kengo Ito Dale Bailey David J. Brooks
  

【目的】ヒト脳のオピオイド受容体活性(OBP)における加齢の影響や性差については,OBPの生理機能とともにいまだ不明な点が多い.今回,OBPに結合能を有する11C-diprenorphineとPETを用いて,正常な加齢変化と性差を検討した.

【対象と方法】22例の健常者(男性:17人,女性:5人,年齢:27〜65歳)を対象.11C-diprenorphine 5 mBq/kgを投与後,dynamic PETの収集を行った.Logan graphical法にてOBP imageを再構成し,分散分析(ANOVA),31個のROI分析とSPMにて年齢と性によるOBPの定量的変化を調べた.

【結果】ANOVAにて総受容体活性への年齢の主効果が認められ(p=0.045),40歳代以降から総受容体活性は増加を示すことが判明した.ROI分析とSPMから分布としては,一次感覚領野を除く皮質全体にその活性増加が明らかであった.

【結論】これは大脳皮質での加齢による内因性オピオイドの低下と受容体のup regulationを反映し,また,加齢と自殺や痛覚鈍麻などにおけるOBPの生理的意義にも関連するものかもしれない.

2001/06/15


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