第16回日本老年精神医学会 演題抄録

 

【II A-3】

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音楽性幻聴を呈する1症例の空間フィルタ法による
脳磁図解析
      
 

大阪大学大学院医学系研究科神経機能医学講座・精神医学
山本雅清 篠崎和弘 鵜飼聡 川口俊介 石井良平
小川朝生 水野由子 井上健 武田雅俊
大阪大学大学院医学系研究科神経機能制御外科学・脳外科学  吉峰俊樹
大阪大学大学院医学系研究科生体情報医学講座・放射線医学   平吹度夫
田中診療所  田中迪生
CTF Systems Inc.  Stephen E. Robinson
  

【目的】音楽性幻聴を呈する1症例の聴覚課題時のMEGを空間フィルタ法を用いて解析し,病態生理を検討した.

【症例】78歳の右利きの女性.元オルガン演奏家で,数年前より両側の聴力低下をきたした.音楽性幻聴以外に精神神経科疾患の既往歴,現在症を認めない.平成11年末に発症し,現在,安静にしていると幻聴が存在する.

【方法】安静時(音楽幻聴時)と聴覚課題時(1.音楽テープ聴取,2.講演会テープ聴取)の脳内の電流源密度分布を空間フィルタ法を用いて推定し,両者をt検定で比較して有意に神経活動に差がある領域を空間的に可視化した.

【結果】幻聴時には,課題1に比較して8-13Hz帯域で左の運動野付近(手の領域)で脱同期が,課題2に比較して13-30Hz帯域で右頭頂後頭間溝および右縁上回付近で脱同期がみられた.

【考察】前者はmリズムに対応し,幻聴時に実際の動作をせずイメージでリズムをとっている可能性を,後者は幻聴時に非優位半球の聴覚連合野に機能異常が存在することを示唆する.

2001/06/15


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