第16回日本老年精神医学会 演題抄録

 

【I B-20】

神経心理

アルツハイマー型痴呆患者における学習効果とその保持
      
 

お茶の水女子大学大学院人間文化研究科  泉園子
東京大学大学院総合文化研究科認知行動科学  望月寛子
筑波大学心身障害学系  山中克夫
東京都多摩老人医療センター精神科  新垣浩 田ヶ谷浩邦
  

【背景】アルツハイマー型痴呆(Dementia of Alzheimer type;DAT)患者であっても,新しい技能を学習できる可能性があり,リハビリテーションの面から注目されている.しかし,学習した技能がその後も保たれるか否かに関する報告は少ない.そこで本研究では,DAT患者における学習効果の保持について,縦断的な検討を行った.


【方法】
対象:DAT患者7名,健常高齢者7例.手続き:運動学習課題としてBi-manual coordinated tracing task,認知学習課題としてジグソーパズルを実施した.1日3試行行い所要時間を測定したあと,1か月後にも同様の方法で3試行,計6試行行った.


【結果と考察】
運動学習課題では,はじめの3試行では所要時間の減少は認められなかったが,1か月後の第5,6試行目に至ってはじめて所要時間が減少した.学習効果が現れるまでには時間はかかったが,試行を重ねることによって所要時間が減少したことから,第1日目の学習効果が何らかのかたちで保持されていた可能性が考えられる.1日内における所要時間の減少は認められたが,1か月の期間を空けると再び増加した.学習効果は比較的容易に認められたが,保持されなかった.

2001/06/13


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