第16回日本老年精神医学会 演題抄録

 

【I B-15】

治療

Lewy小体型痴呆(DLB)が疑われた2症例の治療経験
      
 

神戸大学医学部精神神経科  長岡研太郎 大川愼吾 柿木達也 山本泰司 前田潔
幸生病院  小野成夫
  

 レビー小体型痴呆は本来,神経病理学的な概念であったが,近年では臨床診断基準も示されている.今回われわれは,臨床的,神経画像的にレビー小体型痴呆と診断した2症例に対し薬物療法を行ったところ,症状の改善を得ることができたので,その治療経過について報告する.


【症例1】64歳,男性.1992年にパーキンソン病と診断され投薬を受けるようになった.1998年ごろより記銘力障害が出現し,1999年に筋肉痛のため入院したときから人や小動物がみえるという幻視が出現.幻視に基づいた妄想や異常行動もみられるようになり,2000年1月より当院に通院.臨床的,神経画像的にDLBと診断し,リスペリドン1mgを投与開始した.幻視は弱まったが完全には消失しないため,ドネペジル3mgを追加投与したところ,幻視の消失に加え,MMSEの改善(23/30→28/30)を得た.


【症例2】78歳,女性.1997年ころより記銘力障害が出現し,1998年ころには被害妄想が認められるようになった.1999年ころに人がみえるという幻視や物に話しかける錯視が出現し,パーキンソニズムによる歩行障害も出現した.同年末,某院に検査入院し,DLBと診断された.退院後は当院に通院.リスペリドン1〜3mgの投与により,幻視,錯視は軽減して,認知機能の変動が少なくなり,情動の安定化も得られた.

2001/06/13


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