第16回日本老年精神医学会 演題抄録

 

【I B-4】

疫学

総合病院入院中の老年患者に対するリエゾン活動
(第2報);精神疾患老年患者の身体合併症治療
    
 

順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院神経精神科
高木一郎 一宮洋介 江渡江
植田由美子 宮川晃一 黄田常嘉
  

 第13回の本学会で順天堂大学浦安病院での老年患者に対するリエゾン活動の現状を報告したが,今回は続報として精神疾患老年患者の身体合併症治療の現状を検討した.
 平成8年1月〜平成12年12月までの5年間に当院に入院し,精神科が他科と共同診療(兼科)を行った兼科患者総数は689名で,このうち65歳以上の老年患者数は219名(31%)であった.さらに当院あるいは他院精神科にて治療中であるが,身体合併症の治療目的で入院,兼科となった65歳以上の精神疾患老年患者数(臨床診断がICD-10のF0,F2,およびF3の症例)は65名(9%)であった.
 精神疾患老年患者群における主要な身体疾患は悪性腫瘍22%,骨折20%,脳梗塞11%であったが,前二者がここ数年増加傾向を示していた.精神科診断ではF3が46%,F0が40%,F2が14%であった.F2症例は増えつつあるものの,まだ症例数は少なく,一般病床での身体合併症治療のむずかしさを示唆するものであろう.当日は代表的症例を呈示するが,身体合併症治療におけるリエゾン活動ではそれまでの精神科担当医および身体科担当医との連絡・連携を密にとりつつ,兼科中は精神科専門医として精神症状のコントロールをはかることが肝要と思われる.

2001/06/13


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