第16回日本老年精神医学会 演題抄録

 

【I A-20】

症状学

レビー小体型痴呆にみられる精神症状;レボドパ起因性精神病との類似性
    
 

横浜市立大学医学部精神医学教室・東京慈恵会医科大学付属病院看護部  丸井和美
 横浜市立大学医学部精神医学教室  井関栄三 小田原俊成 小阪憲司
  

【目的】レビー小体型痴呆(DLB)では特有の精神症状がみられ,最近SPECTやPETにおいて後頭葉の機能低下が報告され,精神症状との関連が注目されている.われわれはDLBとレボドパ起因性精神病の精神症状との類似性に注目し,DLB7例についての精神症状の特徴と生成機序を検討した.


【精神症状】
症例1:抑うつ状態で初発,幻視(人)・人物と場所誤認・実体的意識性・幻聴・被害妄想.症例2:抑うつ状態で初発,幻視(虫)・皮膚体感幻覚.症例3:抑うつ状態で初発,幻視(人)・人物と場所誤認・実体的意識性・カプグラ症候群 症例4:被害妄想で初発,幻視(人・ネズミ)・錯視・パレイドリア・人物と場所誤認.症例5:幻視(人)で初発,人物と場所誤認・実体的意識性・カプグラ症候群.症例6:幻視(虫)で初発,幻視(人)・錯視・パレイドリア.症例7:幻視(人)で初発,人物と場所誤認・カプグラ症候群・被害妄想.


【考察】
DLBに共通した精神症状の特徴は,人と小動物幻視・錯視・パレイドリア・実体的意識性・人物と場所誤認・カプグラ症候群であり,レボドパ起因性精神病の精神症状に一致する.最近,われわれはDLB脳の黒質-扁桃核障害を神経病理学的に示し,精神症状と中脳-辺縁系ドパミン作動性神経の機能異常との関係を示唆した.

2001/06/13


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