第16回日本老年精神医学会 演題抄録

 

【I A-9】

症状学

中・高齢者での抑うつと血清testosterone値の
関連性の検討
  
 

徳島大学医学部神経精神医学教室・医療法人藤井病院精神神経科  兼田康宏
医療法人藤井病院精神神経科  藤井哲
徳島大学医学部神経精神医学教室  大森哲郎
  

【目的】われわれは,中・高齢者での抑うつと血清testosterone値の関連について検討した.


【方法】
対象は,医療法人藤井病院精神神経科通院中の男性うつ病患者(DSM-IV)11名と年齢をmatchさせた健常者11名であった.全対象者から,informed consentを得た.抑うつのlevelは,Zungの自己評価抑うつ尺度(SDS)日本語版を使用して評価した.


【結果】
1.SDS平均総得点は,うつ病者群のほうが健常者群よりも有意に高かった.2.血中luteinizing hormone(LH),follicle-stimulating hormone(FSH)およびtestosteroneの平均値は,両群間で有意差を認めなかった.3.両群において,SDS総得点と血清testosterone値間に有意な相関を認めなかった.また,血清testosterone値と年齢間にも有意な相関を認めなかった.


【結論】
本研究結果は,中・高齢者での抑うつと血清testosterone値の関連性を支持するものではなかったが,testosteroneの気分に及ぼす影響についてはさらに検討の余地があるものと考えられた.

2001/06/13


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