第15回日本老年精神医学会 演題抄録 |
【UB-2】 |
診断 |
ヒト乾燥硬膜を用いた脳腫瘍手術の13年後に Creuzfeldt-Jakob病(CJD)の発症が疑われた症例 |
北里大学医学部精神神経科教室 横山正宗,長谷川吉生,宮岡 等 |
40歳,男性,家系内に類症はない.精神運動発達は正常で,学業成績も良好であった.27歳時聴神経腫瘍と診断され聴神経腫瘍摘除術を受けているが,このときヒト乾燥硬膜が使用されている.以後社会復帰を果たし13年間は記銘力や運動機能に問題なく経過していた.H11年9月(40歳時)より階段昇降時のふらつきを訴えるなどの運動失調が出現し,10月には追跡妄想,「ヘビが見える」「水道の蛇口からエイリアンが出てくる」等の幻視も認めた.精神科近医を受診し,向精神薬の処方により精神症状は改善したが運動失調はさらに増悪した.同年12月には自立歩行は困難となり,尿失禁も認めた.しだいに記銘力障害が出現し,職業上の話題にもついていけなくなるなど痴呆症状も顕在化してきた.H12年1月には画面になにも映っていないパソコンをいじるなど奇異な行動を認めたほか,食事も介助なしでは不可能となった. |
2000/07/06 |