第15回日本老年精神医学会 演題抄録

 

【UA-13】
ケア
Zarit介護負担尺度日本語版の信頼性・妥当性
および交差妥当性
   

国立長寿医療研究センター看護・介護・心理研究室  荒井由美子,鷲尾昌一
杉浦ミドリ,工藤 啓
三浦宏子
   

【目的】Zarit介護負担尺度日本語版の信頼性・妥当性および交差妥当性を確認すること
【方法】1)信頼性・妥当性確認のための研究
 対象:宮城県M町における要介護高齢者の主介護者66名に対し自記式の質問紙にて要介護高齢者の主介護者の背景(性,年齢,介護時間,期間,問題行動の有無など) および介護負担(Zarit介護負担尺度日本語版)について尋ね,ADL,HDS-Rについては訪問看護婦が測定した.
2)交差妥当性の確認
 福岡県,O郡の訪問看護ステーションを利用している要介護高齢者45名に対し,上記と同様の調査を行った.
 信頼性・妥当性の検証については,原著者のZaritが提唱している方法で行った.
【結果】宮城県の調査において,再現性が確認された(r=0.76).
 Cronbach's alpha係数は0.93であった.Zarit介護負担得点とCES-Dとの相関係数はr=0.50であった.項目22の得点と項目1〜21の合計得点との相関はr=0.71であった.また,介護時間の増加にしたがって介護負担得点も増加していた.福岡県の調査においては,Cronbach's alpha係数は0.93であり,介護負担得点とCES-Dとの相関係数はr=0.67であった.さらに,項目22の得点と項目1〜21の合計得点との相関はr=0.65であった.
【考察】上記により,Zarit介護負担尺度日本語版の信頼性・妥当性および交差妥当性が確認された.今後,介護保険の導入に伴い,介護負担軽減のためのサービスが開始されることが考えられるが,本尺度はそのサービス評価にも有効活用できると考えられる.
[参考文献]
Arai Y, Kudo K, Hosokawa T, Washio M, Miura H, Hisamichi S:Reliability and validity of the Japanese version of the Zarit Caregiver Burden Interview. Psychiatry Clin Neurosciences, 51:281-287(1997).
荒井由美子:Zarit介護負担スケール日本語版の応用.医学のあゆみ,186:930-931(1998).

2000/07/06


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