第15回日本老年精神医学会 演題抄録

 

【UA-10】
ケア
痴呆性高齢者のQOL評価
  

岡山大学医学部精神神経科  寺田整司,石津秀樹,原口 俊,武久 康
西中哲也,藤田大輔,黒田重利
きのこエスポアール病院  佐々木健
   

はじめに】痴呆性高齢者のQOL評価票作成を目的として調査研究を行った.在宅・施設入所・入院中のいずれの場合でも使用することができ,また軽度からかなり重度の痴呆性高齢者までを対象とした,比較的簡便な評価票作成を目的とした.
【方法と結果】
QOL評価においては,多くの場合,主観的評価が重要視されているが,認知障害を有する痴呆性高齢者に主観的なQOL評価票をそのまま適用することには問題が多い.そこで,われわれは痴呆性高齢者のQOL評価票を作成するにあたり,以下のような手順を踏んで調査研究を行った.
 (1)痴呆性疾患の診療研究に当たっている者が集まり,痴呆性高齢者を実際に介護している介護者の意見および阿部らの報告した日本語版AD-HRQLも参考として,痴呆性高齢者の
QOLにとって重要と考えられる項目を120項目以上作成した.
 (2)次いで,120以上の項目のなかからほぼ同一の内容を表していると考えられた項目や特別な状況にある痴呆性高齢者にしか適応しない項目を削除し,100項目を残した.こうして残った100項目を「痴呆性高齢者自身を評価する項目-60項目」と「痴呆性高齢者のおかれた状況を評価する項目-40項目」の2群に分けて最初の調査を行った.
 (3)最初の調査は600名あまりの痴呆性高齢者を対象として行われた.前半60項目と後半40項目をそれぞれ対象として,回答分布の偏りが著しく大きい項目などを削除したうえで因子分析を行った.その結果,「痴呆性高齢者自身を評価する項目群」については6つの因子が,「痴呆性高齢者のおかれた状況を評価する項目群」については2つの因子が抽出された.
 (4)各因子に高い負荷量をもつ項目のみを選択し,より簡便な
QOL評価票を作成し,信頼性の検討を行った.

2000/07/06


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